雨粒に薄れる世界
掴めたはずの 光散る
空を切った手のひら 言い聞かせ
走り抜ける今日


卒業証書握った手を 伸ばした先選んだ
欲しかったはずの未来なのに 道に迷っていた
やっぱり君の第二ボタン 貰っておけば なんて
アルバムの中笑った時間 どうかそのままで

長かった髪を切った それだけで
どこか遠くへ 行けそうだって 思い込んでいたの

通学の窓越しに見た
過ぎ去っていく街のように
制服もローファーも 手放したあとで
通り雨はじきに止んで 眩しい世界現れると
褪せてゆく思い出が 包み込む
風が吹き荒れる


「本当にこれでよかったのか？」
「夢は叶うんだろうか？」
水たまり映った私は 不安げに問うの
繋がった過去 繋がった未来 繋げなかった右手
戻りたいわけじゃないけれど 愛しく思うよ

やがてこぼれる記憶に 託すのなら
笑いかたも 息のしかたも 綺麗な別れかたも

桜が落ち長かった陽に
色づいた葉が白く染まる
「またいつか」 守れない気がしていたのに
かじかんだ心に描いていた 泣き疲れた眼で探した
遠ざかる君の背は 届かない
長く伸びる影


重なった時が解けて いつの日か
見知らぬ人と 繋がることを 運命と言うなら

紛れていく人の波に すれ違い呼ぶ声聴いた
「今、幸せですか？」と 問いかける手紙

あの日からずっと探してた ふたり笑い合う未来を
もう一度会えたとき 言えるかな
その日まで
走り抜ける今日