走り疲れて考え疲れてその上暑くてバテて来た。いっそシャルロットみたいにさっさと捕まるのもアリかも知れないな。またあの鳥に囲まれたり帽子屋に見付かったりしても面倒だし…。溜息を吐いて顔を上げると目の前を銀色の髪が歩いていた。一般客がさわさわと遠巻きに写メ撮ったりしてる。

「あれ?ハレルヤ?何してんだ?」
「疲れたので休もうかと思いまして。」
「あ!てか俺のプレート確かお前が持ってんだよな?!」
「本人に渡すのはルール違反ですね。」
「あー…そうなのか?まぁ自分のプレートは持ってても駄目か…。」

また溜息が出る。どうも冴えないんだよなぁ…。

「帽子屋さん…?」
「え?」
「……………………………………。」
「うぉ?!マジで?!」

ハレルヤの視線の先にはカラスの様に真っ黒な服の帽子屋が居た。と言うかどう見てもこっちに歩いて来ていた。

「ちょ…!何ボーッとしてんだ?!逃げるぞ!」
「話し合いでも…。」
「空気読め平和主義!!」

この状況下で『話し合い』と言う発想も凄いな。興味深いけど取り敢えず引き摺る様にハレルヤと走った。帽子屋はこちらに向かってはいるが、追う気が無いのか走っている俺達と距離はどんどん離れて行く。

「追って来ない様ですね。」
「ははは、見逃してくれたみた…い?!」

瞬間移動でも使ったのかと思った。前からこっちに向かって同じ真っ黒な服が歩いて来る。挟み撃ちとは卑怯な…!でももう走るの疲れて来たし…ん?

「ハレルヤ!来い!あれ乗るぞ!」
「列に横入りは感心しませ…!」
「時と場合を考えろ!」

並んでいる奴等を掻き分けて観覧車に雪崩込んだ。

「はぁ――何とか…。」
「降りた瞬間に捕まると思うんですが…。」
「休憩だよ、休憩。でなきゃ何で野郎二人で観覧車なんか。」
「これは観覧車と言うのか、男二人で乗る物では無いなら誰と乗る物なんだ?」
「ん~そりゃ、彼女とか…?」
「では『リトルフラワー』と乗るべき物だったのか。」

何か飲んでたら吹き出したと思う。はっきり言われると強烈だな…花壇の気持ちがちょっと判る。

「お前は花壇と乗りたかったか?」
「何故?」
「は?!…いや、だから…好きなんだろ?」
「え…?」
「…『え…?』って…。」

ピントがずれてる奴だな、とは思っていたがもしかしてコイツ…自分で判ってなかったのか?!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DollsGame-123.カポック-

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閲覧数:313

投稿日:2010/09/17 14:59:05

文字数:988文字

カテゴリ:小説

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