さあ、といつもより少し冷たい潮風が吹き、わたしの髪と制服を後ろになびかせた。それが合図だったかのように、目の前の雲が割れ、その中から太陽が顔を出す。
突然現れた光は、わたしには『希望の光』のように見えた。
視界の横端で色とりどりの秋桜(コスモス)が揺れている。散った花びらが宙に舞い上がり、まるでわたしの旅立ちを祝っているかのようだった。
ふわりと微笑み、そっと目を閉じる。瞼を通して、光だけが見える。明るくて暖かい、希望の光。
ピンと船の真ん中で手を伸ばし、光と潮風を一身に浴びる。
「・・・よし、行こう」
そう小さく呟き、わたしは新しい世界に足を踏み出した。
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