煙突から白く伸びていく梯子達
不自由に流れては挨拶もなしに消える
暖炉のそばで集う想いは穏やかに
張り詰めた冷たい時を忘れさせる

薪の弾ける音が噂してたんだこっそり
笑う声聞かないふりしてたのに
寒さに負けたふりをして聞いちゃった
下らない話もどうしようもない話も

揺らめいた炎が胸の奥を撫でていく
告げる必要のない滑らかな手紙みたい
本当はきっと怖いはずなのにねぇ
そこにいるとまるで友達みたいなんだ


高くない陽射しと雪のモノトーン
不器用な足跡で返事聞かず扉の中へ
指先に寄りそう水の流れは厳しくて
手を繋ぐ愛しさを溢れさせる

凍えた窓が隙間風と逢引してたひっそり
耳元で感じないふりしてたのに
くしゃみ堪えきれずに叱っちゃった
いままでのこともこの先のことも

まごついた雫が吐息に合わせ落ちてく
遂げる必要のない鮮やかな道筋のよう
本当はもっと冷たいはずなのにねぇ
ここで見るとまるで悪友みたいなんだ


川沿いから見える白い梯子達は
灯をもって静かに浮かぶ汽船のようで
汽笛のないまま北風に揺さぶられ
目指した星めがけて飛んでった

いつもより澄んで映えるオレンジ色
星を連れてきて月を連れてきて
ねぇ少し冷えるでしょ?お茶をどうぞ
ねぇそこは寒いでしょ?手袋をあげる


この街で最後の一人が扉を閉めたって
舞い散る雪が静かなノクターンを纏う
せっかくの演奏を台無しにするのは誰?
薪の噂話かしらそれとも隙間風の囁き?

気付くことができなくたって止まらない
明日には真っ白な音符が絨毯になる
きっと夢の中でだって白く染めてく
起きてすぐに曇るガラスを指で拭ったら


凍てついた道が骨の髄まで震わせる
見えるはずのない厳かな魔法みたい
本当はきっと暗いはずなのにねぇ
そこにいるとまるで光みたいなんだ

そうしてまた僕らは光の海をいく
頼りなく立てかけた汽笛のない梯子の下で

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

汽笛のない海

暖かくしてお過ごしください。

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投稿日:2023/01/03 00:06:31

文字数:799文字

カテゴリ:歌詞

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