カーテン越しに日が差して、眩しさでぼんやりと目が覚める。まどろみの中ついつい二度寝を…。

「めーと、おっきろぉー!」
「おっきろー!」
「ぐぇぇっ!!」
「わわっ?!詩亜様!月寧ちゃん!鳴兎潰しちゃダメ!」
「りおんねぇた!めーと、ねぼうなの!」
「ねぼうなの!」
「と、とにかく降りて降りて!鳴兎も起きて!もう直ぐ港着くから!」

朝からこのテンション…実家思い出す。チビ二人を部屋から優しく連れ出すと浬音が軽く溜息を吐いて向き直った。

「悪ぃ、寝過ごした…。」
「昨日も仕事詰めてたでしょ?鳴兎の目覚まし止めといたの。」
「浬ー音。」
「ん?わっ?!…もぉっ…!時間無いって…鳴兎…ん…っ!」
「ちょっとだけ。」
「……………………。」
「わぁああ?!い、幾徒様?!」
「…らぶらぶ…おじゃましました…。」
「幾徒様!空気を読まないで良いです!ほ、ほら鳴兎も支度して!」
「あ、う、うん…。」

早い物で【DollsGame】からもう二ヶ月近くが経とうとしていた。動画も含めて大々的な宣伝の下、【Tineke】はようやく明日正式オープンの日を迎える事になった。プレイヤーやNPCは元の生活に戻った者、別の仕事に就いた者、それぞれがそれぞれの場所で頑張っているらしい。時々送られて来るメールを浬音が嬉しそうに持って来たりするのを一緒に見て居たりしたから。

「何かこのホテル懐かしいな。」
「そうだね~…あ!居た!ルイさ~ん!」
「浬音ちゃん!久し振り~!元気だった?」
「はい、ルイさんも元気そうで良かったです。」
「プレオープンの招待状来た時はビックリしたのよ『良いのかな~?』って、でも
 折角だから来ちゃった。」
「お久し振りです。他の皆様も揃ってるんですか?」
「ええ、皆中で待ってるって。」
「浬音、ここ良いから行っておいで、支度もあるだろうし。」
「はーい。」

浬音はルイと二人ではしゃぐ様にロビーに入って行く。懐かしい様で、それでもあの時とは全然違う浬音が其処に居て、それが嬉しいと思った。

「あ、鳴兎さん、菖蒲さん達見ませんでした?」
「俺に聞くな、イエロー。」
「イエローは止めて下さい…それに最近スーツ多くて着てないし。」
「ノアは人使い荒いからなぁ…開発部だっけ?」
「室長の話はしないで下さい!ああ、もう思い出してもイライラする!この前も
 データの組み方が平凡だとかアイデアが貧弱だとか人を小馬鹿にして…!」
「さーて、主役に挨拶っと…。」
「ああ、ちょっと聞いて下さいよ!」
「面倒臭い…。」
「茅ヶ崎さん、お久し振りです。」
「俺はそうでもないけどな。」
「ハレルも季琳も結局職場同じだもんね。俺は完全に久し振りだけど。」
「なぁ、ちょっと見ろよこの破壊された携帯!もう5台目だぞ?!優花の奴喧嘩の度に
 真っ二つ!経費も落ちないしで…。」

何はともあれ元気そうだ…。うん…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DollsGame-137.パピルス-

一部就職しちゃってたり

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投稿日:2010/11/13 09:01:01

文字数:1,210文字

カテゴリ:小説

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