そんな棘のある言葉で この夜を汚さないで
風露草(ふうろそう)の涙が 静かに丘を伝う

青く広がる宙(そら)から 零れる星のため息
この地上を見つめる、焼けただれたこの地を

願っても祈っても 想いなど届くはずがない
ここへ届く流れ星は皆この惑星(ほし)が呑み込んでしまった

月明かりに目覚める、失われた過去の日の面影
亜麻布の帆を広げて 浮かび上がる 星座の船

この目に映る世界が醜くても歪んでいても
君が信じるならばもうそれが真実だろう
今宵、一千億の哀しみと共に船に乗り
僕らがかつて夢見たあの銀の月へと向かおう


思えば幾度僕らは こうしてすれ違ったろう
熱のない音楽は もう聞こえない

恥の多い生でした、荒涼とした世界で
油臭い夢は 干上がり砂へと還る

古代生物のように オールを波打たせて泳ぐ
星骸(レムナント)に浸り光る ガラスの青い竜骨

万人の幸福や不変の愛が成り立つ
理想などないことは痛いほど分かるだろう
今宵、僕らは哀しみと共に船に乗り
時を渡る旅人となって銀の月へと向かおう


鳩はもう死ななくていい、犠牲はもういらない
ぐるぐる回る羅針盤 八番目の天空はいずこ

傷んでも汚れても 愛すべき世界だけど、さよなら
「捨てられるはずがない」と言い張った君も
今はもう艫腹で星を眺めている


優しさも愛もみな本質はエゴだと
知ればもうすべては虚しいだけのまやかしだろう
今宵、一千億の哀しみと共に船に乗り
僕らがかつて夢見たあの銀の月へと、

脆く割れる実のない言葉の代わりに歌を
黄金の代わりに君に星屑の花束を
今宵、僕らはすべての生命(いのち)の哀しみと共に
青い星の船に乗って つかの間の夢を見る

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

今宵哀しみと共に月へと向かう船に乗って

穢れた地上を捨てたい。そんな歌。
前二作の感情が積もり積もって、どうでもいいや、と突き抜けた方向へ行ってしまった結果の詩です。

一応「アルゴ船座」という星座をモチーフにしているのですが、勇敢な冒険活劇などではなく現実逃避とほんのり「死」を思い起こさせるテイスト。
加えて過去に発表した作品からもいくつか表現を引いています。

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投稿日:2015/10/17 01:17:15

文字数:719文字

カテゴリ:歌詞

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