「初めまして、歌手音ピコです!よ、よろしくお願いします!」
ことの始まりは数日前の午後。
突然メイコに呼び出され、全員居間に集合していた。
大きなコタツを囲んでいるのは右からミク、リン、ルカ、グミ、レン、カイト、がくぽ、そしてメイコ。
「みんなに重要な話があるの」
ミカンやアイスやネギやナスを食べていた手を止め、メイコに視線が集まる。
「この家に、新しい住人が来ることになったわ!」
おおおおおお!と歓声が上がる。
「ねえねえ、どんな子?」
「男?女?」
「どんな歌を歌うの?」
「はいはい、落ちつきなさい」
メイコを質問攻めするミクとリンとレンをカイトが引きはがす。
声には出さなくても、みんなわくわくした表情だ。
「名前は歌手音ピコ。男の子だけど、女の子みたいな声もでる子よ」
「え、すごい!」
「気になる!」
「早く一緒に歌いたいですね!」
「それで、ピコの歓迎パーティーを開こうと思うの。どうかしら?」
「「「やりたーい!」」」
ミク、リン、グミがきゃあ、と騒ぐ。
「じゃあ、分担しましょう。ご飯の買い出しが私とルカとグミ。飾り付けの道具をカイトとがくぽ。ミク、リン、レン、あんたたちは部屋の掃除をしておいて」
「「「えー」」」
「それで、カイト達が帰ってきたら飾り付け、素敵にしておいてね」
「「「はーい!」」」
そして今日がその日だということだ。
まだ予定の時間の数時間前。
目の前に現れたのは、白い髪に白い肌、白い服と真っ白な男の子だった。
「よろしくね、ピコくん!」
「あ、はい!初音さん」
「ミクでいいよー」
「は、はい!ミクさん!…あの、予定より早く着いてしまって…」
「ふふ、長旅御苦労さま!お姉ちゃんやお兄ちゃん達は今出かけてるんだけど、もうすぐ戻ってくると思うよ」
「はい」
「とりあえず、ピコくんの部屋に案内するね」
「はい、ありがとうございます」
「そんなに緊張しなくてもいいのに」
2人は楽しそうに話しながら2階に上がっていった。
その後ろ姿を物陰からじーっと見つめる2つの影。
「…リン」
「…なにレン」
「ミク姉、楽しそうだね」
「うん、楽しそう」
「…結構、イケメンだったね」
「…うん、イケメン」
ぐおおおおおお、とうなり始める2人。
「このまま2人がいい感じになってくっついたらどうしようリン!?」
「それは、まずいよ!だって、そんなことになったら…」
「「ミク姉をお嫁さん(お姉さん)にしよう計画があああああ!!」」
つまりレンとミクが結婚して、リンの本当のお姉さんになってもらおうという計画である。
「で、でも大丈夫よ!イケメンだけど女の子っぽい子だもの!きっとミク姉も男らしい方が好きだよ!」
「ていうか…本当に男?」
「男でしょ」
「なんで?」
「だって胸がないもの」
当然でしょ、と言わんばかりのリン。
その胸をちらっと見たら、顔面にリンの拳がめり込んだ。
「なにか?」
「………なんれもありまへん」
「とにかく、ここはレンの男らしさを見せつければいいのよ!」
「おお!」
「じゃあ、行くよ!」
おー!と拳を突き上げて、2人は階段を駆け上がった。
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