【第５話】BREAK

　がしゃあぁぁぁ!!!!!

　という途轍もない音と振動で、私は叩き起こされた。

　「ええ!!??な、何、何!!!?」

　一人で、おたおたしていた。
こんなの初めてだし、経験する術もないし。

　「リン!!起きろ!!!早く着替えて外に出ろ!!!奴らの奇襲だ!」

　バンッと、勢いよく私の部屋のはいってきたのは、グミさん。
昼間みたのとは服装が違う。

　胸にさらしを巻いて、ショートパンツにニーハイソックス。

　「すぐに奴らが来るぞ!!もたもたするな!」

　怒鳴られて状況を理解した私は、自分のできる限りのスピードで着替えた。
そして、みんなのいる所へ。

　右手に持つ剣が重い。

　私がリビングへ行ったときには、もうみんなが集まっていた。

　「遅いぞ、リン」

　レンが私を見る。
しょうがないじゃない、初めてなんだから。

　「まあ、いいじゃないか、レン君。リンちゃんは、初めてなんだよ?」

　さすが、カイトさん。
大人だ。レンが黙ってるし。

　「うるさいぞ、みんな」

　グミさんが、私たちを睨む。

　「もう少し緊張感というものは持てな…」

　「あたしがいるのに、おしゃべりなぁんて。見くびられたもんだねっ」

　グミさんの言葉を誰かが遮った。

　みんなが視線を向ける先には、２人の女性がいた。
破壊された壁の向こう。

　「久しぶりっ、あたしのかわいい【欠陥品】たち」

　長い髪ツインテールにした人が、にこりとほほ笑む。

　同時に背中に感じる、悪寒。

　「ミク、あの子よ。昨日下が捕り損なった女の子って」

　隣にいるサラサラストレートの長い髪の女性が、私を流し眼で見る。

　「ふぅん……、あの子…、ねぇ……」

　ゾクッ。

　『ミク』よばれた女性が私を、上目づかいで見るなり、私の足はぐらついた。
何なんだ、この人たち。

　「ルカ…は、あの子ほしい?」

　「ミクがほしいなら」

　「そうねぇ…」

　私の周りのみんなが、じり、と体勢を低くする。
この２人の会話で、私の運命が決まるのだろうか。

　「グミ。その子、もらっていってもいいかしら」

　何も答えない、グミさん。

　「ちょっと？いつからそんな反抗期になっちゃったのぉ？前は仲良かったじゃな…」



　―――バンッ


　

　その音を出したのは、レン。
レンが自分の武器であるリボルバーから弾を発射したのだ。
みんなが当たった、と思っただろう。









　しかし、その弾がミクさんに当たることはなかった。



　『ルカ』がフィールドを作っていた。