君が指先ではためかす
洗濯物を見ている
おはようには遅い
もう一度まぶたを閉じる

自転車のベルポストの音
駆ける靴音笑う声
空になったカップを
気まぐれに風が撫でる

覚えてなんかいないけど
忘れることもできない
刻まれる優しさの中に
儚さが顔を覗かせる


君が指先で移していく
晩御飯を見ている
おやすみには早い
それでもまぶたを閉じる

ティーポットを閉じる音
温めたパイを切っていく
満たされたカップを
気まぐれに君が吹いた

覚えてなんかいないけど
忘れることもできない
染み込んだ愛しさの中に
寂しさが顔を覗かせる


舌先には鱗を唇には骸を
撫でられる頬が暖かい
そうされるのも今のうち
だから私はまぶたを閉じる

寄り添うのはもう何度目?
冬の始まりから雪解けまで
夢にまでみた暖炉の前で
オレンジ色がゆらゆらゆら


君が指先で届けていく
体温を思い出す
ありがとうじゃ足らない
最後にまぶたを閉じる

雫のこぼれる音染まる頬
冷たい雨に混じっていく
許された旋律を
ずぶ濡れの君が信じた

覚えててくれるのかな
忘れてもいいけどね
ため込んだ涙の中に
思い出が顔を緩ませる


大丈夫だよ残されても
きっとまたすぐに会える
瞬きをするくらいの間
容易く飛び越えられるさ

次に会えるときはもう少し
もっと言葉をもっと想いを
もしかしたら歌だって
君と紡いでいられるかも


君が指先で届けていく
体温を思い出す
ありがとうじゃ足らない
転がる骸に君を思い出す

繋がる温度に君を思い出す

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

唇に骸を

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投稿日:2022/03/26 19:47:00

文字数:654文字

カテゴリ:歌詞

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