<第21話末文より抜粋>

めぐみ:わかっているのなら、結構。今回に関しては、私の方から“一方的に”事実と罪状を読み上げません。私への意見も含めて、闘いなさい。正直な話、この件は画一的に裁けない面があるので、君たちの“真実の言葉”を聞いて、それで決めようと思う

イロハ:了解した。闘おう
ユキ:望むところだ

 こうして、最後の最後、イロハvsユキの闘いが始まったのだった。

<Dear My Friends! ルカの受難 第22話 もう一つの決戦・後編>

(某日 インタネ共和国 第1法廷)

イロハ:まず、私はアフス帝国の皇帝であった人物だ。途中まではテルの暴走を止めると同時に、完成版魔法陣の入手の意図もあって、ルカさんを丁重に招き入れた。ルカさんの開放と魔法陣の入手を賭けた試合形式の決闘では、ユキ達に同意して、ルカコピーという存在を作ることを許してしまった。しかし、ルカさんへの扱いの酷さへの疑問と、ルカさんという存在への尊敬の念の強まりと、決めてしまった事への罪悪感から、ユキ達の方針に反し、助けに来たミキと共に、ルカさん側に付き、結果として、試合をアペンド側勝利に導いた

ユキ:そういうのを“裏切り”と言うのだ。国家の主ともあろう方が、国家の方針を裏切って、試合をアペンド側に傾かせ、あげくに勝たせてしまうとは…。我々はミクの攻撃で死にかけたのだぞ?

 参考出廷の席からミクの声が飛んできた。

ミク:あれは、“流れ弾”だ!
ユキ:さて、どうだか…。まぁ、それはいい。とにかく、イロハ! お前の裏切りで結果、自分の国は敗北し、あげくに、こんな“中立”の裁判所にまで引っ張り出されてしまったのだぞ! 主、自らでの国家への反逆、解っているんだろうな?

ミキ:ユキ、お前、一種の民間人である“ルカさん”を使って、戦闘兵器である“ルカコピー”を作った事件に関してだけは、少なくてもイロハさんと同じだけの責任がある事、お前こそわかっているんだろうな!?
ユキ:私はその件に関しては、イロハやアルと同じ罪状なら、受け入れるつもりだ。私が言っているのは、“反逆”の事だ!
ミキ:その事だが、お前、最後はイロハさんに、タメ口以上の罵倒をしながら、脅迫していただろうが! 主の意向に最後まで“反逆”し続けた、お前も主に対する反逆罪を受けるに値するんじゃないか!?

アル:私は注意したのだぞ?
ユキ:私はあくまで国家が決めた方針を最後まで貫いただけだ。確かに口が過ぎたのは認めよう。アルの調書にも書かれているだろうからな。だが、方針を最後まで守ってルカコピーを闘わせた人物と、主でおきながら、決めたのにルカの扱いという点だけを重視して裏切り、ルカ側に付いた人物、国家的にはどっちが“従順だった”と言えますか? 皆さん?

 ザワザワザワ・・・・

ミキ:(ユキめ・・・・・・あの時の自信は、こう言うときに論破できる確信があったからか・・・・)

イロハ:・・・・・・ユキよ、私は受けるべき罪は受けるつもりだ。裏切りという“罪”として、お前と同じなのか重いのか、そんなこと、今更どうでもいいと思っている
ユキ:何?

イロハ:皇帝からの失脚も辞さないつもりだと言っているのだ
ユキ:ついに認めたな!?
イロハ:だ・が、完成版魔法陣へ執着し、ルカさんを実験室に監禁し、最後までボロボロの状態だったルカコピーを罵倒しミクと闘わせ、自分よりも上の位の人物に大口叩いて反逆した、その行為への責任だけは、少なくても取って貰いたいと思っている。私も罪を背負うが、お前も背負うのだよ

ユキ:くっ・・・・・

コンコン!

めぐみ:あー、もうそろそろいいかな? 話が行ったり来たり、内容の細分化まで行ったので、ここまでの内容と君たちの調書、それとここの関係者から事実を聞かせて貰って確認し、それで決めようと思う。それでいいか?
ユキ:異論ありません。平等な判断を願います
イロハ:異論はない。同じく公平な判断を頼みます

めぐみ:はい。では。まず、ここまで罪状が似通ってくると、両方ともへの“量刑”の問題だと判断出来ます。当事者の内、ルカコピー以外の、ユキ、アル、イロハの罪状の種類そのものは、対象団体への従属及び反逆や裏切り、行った行為の人道性、策謀していたことの規模ということになります。それを検討し、各当事者の“順位”を作ることで、量刑に段階を持たせることにします。それでは一人目、ユキのケースに取りかかります。あなたが行った行動を簡単にまとめてみて下さい

ユキ:完成版魔法陣を手に入れるためにルカを利用したことと試合形式で勝利する事で正式に入手出来るルートを作ったこと、国家で決めたことに最後まで従った事、ルカコピーを作って最後まで運用させたこと、上官に無礼な態度をとったこと

めぐみ:関係者、この発言、間違ったところありますか?
イロハ:来賓であるルカさんを粗末に扱ったこと、ルカコピーについては壊れても良いから試合に勝てと酷使していたこと、ベースの本物と友人関係であるミクさんとルカコピーを闘わせたこと、これらが抜けている!
ユキ:くっ・・・まぁいいだろう、心外だがそれをいれよう

めぐみ:わかりました。それではアル、あなたが行った事を列挙して下さい。ユキさんが言われた部分もちゃんと入れてください

アル:ユキの完成版魔法陣に関する策謀に協力した事、国家間での協力姿勢を最後まで守った事、ルカコピーを作って運用させたがユキの無茶を止めようとして暴言を吐かれたが、最後は試合を強制的に終わらせた事、来賓であるルカさんを粗末に扱ったこと、ベースの本物と友人関係であるミクさんとルカコピーを闘わせたこと、コレくらいか

めぐみ:わかりました。ではイロハ、あなたが行った事を列挙して下さい

イロハ:途中までだが、完成版魔法陣に関する策謀を指揮していた事、途中からアペンド側に協力する行動をとったが試合を強制中止するような職権乱用はしてないこと、ルカコピーを作ることを許可してしまったこと、幽閉されていたルカを本人の意志に従って特別観覧席に招き入れたこと、この件を裁判沙汰に持っていく事を提案したこと、コレくらいだと思うが、ユキ、他にあるか?

ユキ:・・・それくらいだろう。自分が不利になることも、ちゃんと入れたのだからな
イロハ:あくまで平等に審議してもらうためだ

めぐみ:わかりました。それとミキとルカコピーについては、彼らの審議の間に入れ込むことにします。こちらの調書で行動は把握してますので
ミキ:了解です
ルカコピー:わかりました

めぐみ:それでは、最終審議をします。私と、こちらの“カル”と“リリィ”の3人の合議体で審議しますから、少々お待ち下さい

***

(30分後)

めぐみ:お待たせしました。とりあえずまとまりました。これから述べさせて頂きます

 コンコン!

めぐみ:この事実を出来るだけ国際法になぞって判断しました。まず、計画していた“完成版魔法陣入手によるルカさん達の世界への侵攻、及び、異世界の技術の導入によるこっちの世界の支配”ですが、この点が最も重い罪になります。で、これは、ユキ、アルには平等に罪を与えます。イロハはアペンド側に付き、ルカさんをある意味助け出して、ミクさんを試合に勝利させた意味から、量刑的に罪を軽くし、ミキとルカコピーは、不問とします

ユキ:ちょ! ちょっと待ってください! なんて私たちだけが重いんですか!
めぐみ:先ほども言ったとおり、イロハは寝返ることで、その野望をくい止めた実績があります。あなたは国家に最後まで従順に従ったということは、この計画を最後まで遂行して失敗した事になりますので、あなたとアルに関しては、減刑がないのですよ
ユキ:ですが、最初はイロハが指揮していたのですよ!?
めぐみ:こう言うことは実質問題となった期間で考えるのですよ。この事件の結果を左右したのは、まさに最後の試合です。ここであなた達がどういうスタンスだったか、それを重要視しました。ユキとアルは計画推進、イロハは反対でした。この計画は世の中を転覆させる事が出来るほどの内容です。最も重要と考えたので、イロハにも不問とせず、減刑で留めたのですよ? 国家の計画に従順に従ったか、反逆したか、は、アフス帝国内の法廷なら、ユキが勝ったでしょうが、ここは中立の国際法廷なのです。国際的な判断基準を使いますから、その点は考慮に入れません。『行ったことの絶対的評価』、それに従います
ユキ:ぬぬぬぬ・・・・

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

Dear My Friends! ルカの受難 第22話 もう一つの決戦・後編

☆オリジナル作品第15弾である、「Dear My Friends! ルカの受難」の第22話です。

☆全体的に長くなりすぎたので、前後編にわけた、その後編です。イロハvsユキの対決です。

☆次がミクとルカの帰還です。

☆今回も罪の重さは伝えることが出来たと思います。

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hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『causality』:http://piapro.jp/content/c0ylmw2ir06mbhc5

☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

☆あず×ゆず様が、第8作目の部室棟の死神案内娘“テト”を描いて下さいました!。本当に有り難うございます!。
『おいでませ!木之子大学・部室棟へ♪』:http://piapro.jp/content/rsmdr1c3rflgw7hf

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投稿日:2012/07/01 14:27:12

文字数:3,526文字

カテゴリ:小説

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