心が傷ついた日の
雨はひどく心地よくて
貴方の姿すら
霞んでしまう夕立

誰にも言えないから
誰にも言いたくないから
僕は筆を手に取った
絵の具が滲んで消えた

ねえどうして

雨が僕の悲しみを
洗い流してくれたら
僕は何年も何年も
何かに呪われたまま生きていなかった
生きていなかった
それだけが僕の僕の
救いだった


心が傷ついた日の
言葉はひどく耳障りで
貴方の慰めも
掻き消すような夕立

誰にも言えないから
誰にも言いたくないから
僕は筆を手に取った
視界が滲んで

雨が僕の苦しみを
柔く溶かしてくれたら
僕は何年も何年も
何かに囚われたまま生きていなかった
生きていなかった
それだけが僕の僕の
救いだった


雨が　雨が
僕を此処に引き留めている
傷が　痛みが
僕の指に呪詛を籠める
ねえどうして
血に塗れた手がこんなにも
美しく　煌めく
どうして　どうして


雨が僕の悲しみを
洗い流してくれたら
僕は何年も何年も
何かに呪われたまま生きていなかった
生きていなかった
それだけが僕の僕の
救いだった

救いだった　救いだった
救いだった