ゆくりさんのお店「ゆっくり」で。
アルバイトのレンくんは、上海屋に行ったきり、サボって帰ってこないようだ。

店内のソファで、お客のホソノさんと、ゆくりさんは、話を続けている。

「まあ、その方、どういう方なのかしらー」
ゆくりさんの問いに、ホソノさんは答える。
「ええ。そのオサカモトさんという女性が、月光企画という会社の社長なんですよ。当面の」
ゆくりさんは、また首をかしげる。
「あら、“当面の”…って、どういう意味かしら?」

ホソノさんは、ゆくりさんが淹れた日本茶を、美味しそうにすすった。
「ええ。ま、そのうちお分かりになるかと思いますが。とにかく、変わったところなんですよ」


●オカルトのランク?

「ふううむ。最近、いろんなとこで“不思議”“不思議”っていう、噂を聞くんですよー」
ゆくりさんは、ちょっと困ったように言った。

「知り合いのいる、デザイナーの支援施設でも、なにやら変な子がいっぱいいますしねー」
「ああ、それ、“ニコビレ”でしょう?」
ホソノさんは笑って言った。
「ボクも知ってますよ。紙魚子くんとか、でしょう?でも、アソコにいるデザイナーの女の子たち、彼女らは、まだ可愛い方ですよ」
「可愛い…?」
「ええ。つまり、オカルトとかの分野では、“駆け出し”っていう感じがしますよね」

「駆け出し?? オカルトの初心者、てことかしら」
ゆくりさんは、吹き出しそうになった。
「オカルトをする人にも、ランクがあるのかしらー」


●世の中をひっくり返す…

「ええ、まあ、ひとつのボクの見方ですけどね。でも、その月光企画って会社はね」
ホソノさんは、ちょっと身を乗り出して言った。

「そこは、ただ“怖い”とか“不可思議”というのを超えた、何というか…」
腕を組んで、彼は言った。
「もっと、魔術に近い、というか。大掛かりな、ブームを仕掛けてくるというか。そんな所なんですよ」

「魔術?へえー、不思議ですね、やっぱり」
ゆくりさんは、また首をかしげた。
「魔術をする会社なんて、あんまり聞いたことないですねー」

「ええ。でも、あそこはそういう事をするところなんです。たとえばね」
ホソノさんも、小首をかしげていった。

「大きなギャンブルで、世の中全体を、ひっくり返しちゃう、みたいな、ね」「(゜ペ)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌(230) 魔術の会社と、オカルトと

レンくんがサボってる分、ゆっくり話が出来てますね。

閲覧数:85

投稿日:2014/03/16 12:38:20

文字数:968文字

カテゴリ:小説

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  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    こんにちは、今年も後2日ですね。

    > P.S. えなりんさんの正月のイラストは、いつも楽しみです!
    今年も冴えてて、GJの作品が見られて嬉しいです。

    ありがとうございます!!!!(感涙)

    毎年、干支ミクさんを描いていて、今年は常連さんのリクエストでリンレンも描いてみました~♪ 年賀状などに、皆さんがご所望であれば、どしどし使えるように描きました♪

    今年1年、色々ありがとうございました! 私は大分サボってしまいましたが(大汗)

    それでは、良いお年を!

    2014/12/30 14:08:46

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    こんばんはです! 自分の方を書き上げてから、続きを拝読させて頂きました。最新作までまだまだですが、1つ1つにコメントさせて頂きますね。

    月光企画、なんて恐ろしい子!(あの少女漫画ネタです♪) オカルトと大がかりなギャンブルでの大儲けの賭け。

    確かに”大がかりなギャンブル”での”賭けとしての儲け”、普通の企業でも営利目的である以上、規模は低いながらも、必ずその要素はありますが、大がかり、となると、意味合いは少し変わりますが、

    コミケ
    某シューエイシャの”少年飛ぶ”のフェスタ
    TVゲーム系の大がかりイベント

    等ですが、オカルトとは違いますね。月光企画のそれは、”物量や規模だけで押して儲ける”とは、違うようです。

    また先を拝読させて頂きましたら、わかってくると思うので、またコメントを書かせて頂きますね。

    寒い日が続く年の暮れの忙しい時期です、是非ともご自愛くださいませ。

    ではでは~♪

    2014/12/23 22:40:39

    • tamaonion

      tamaonion

      enarinさん、感想をありがとうございます!

      >なんて恐ろしい子!(あの少女漫画ネタです♪)

      あはは、有名なセリフですね。でも実は、さっきググって知りました。元ネタを。
      美○すずえさんの作品だったんですね。
      でも、美○先生もちょっとオカルトっぽい作品も書いてますよね? そういえば。

      >コミケ
      >某シューエイシャの”少年飛ぶ”のフェスタ
      >TVゲーム系の大がかりイベント

      なるほど。確かにこれらは大掛かりですが、コミケは自然発生的なものなのですよね、もとは。
      その意味では、健康?(変な言い方ですが)な大規模さ、かなと思います。

      たとえば、自分の体験から言えば、ハリウッド映画がユダヤ財閥に牛耳られてると知ったときとか...
      そういう、なにか「とてつもない力」?
      そういう不気味さみたいなもの。

      そんな不安感を描きたいんです。

      それにしても、少女漫画の作者って、どうも宗教がかってしまうようなところ、ありますね。教祖になったりとか。何故でしょうね?

      また、感想を聞かせてください!

      P.S. えなりんさんの正月のイラストは、いつも楽しみです!
      今年も冴えてて、GJの作品が見られて嬉しいです。

      それでは、また。

      2014/12/30 00:20:37

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