満員電車に揺られてる
今日も見かける
あのおっさん

今日も1日忙しなく
人のために、と
働いてる

少し遅くなった帰りの電車
偶然同じ車両のおっさんの
顔が朝より曇ってた

なんとなしにおっさんを
今から飲みに行かないかと
誘ってみた

軽く相談を聴くつもりで
誘ってみたおっさんの
積年の愚痴は止まらない

おっさんはずっと嫁を愛してた
けれどこの数年嫁の行動が
怪しいと

懐には厳しかったが
街で見かけた興信所に
依頼をした

おっさんの曇った顔は
そのことが理由だった
おっさんは高望みせず
幸せがほしいだけだった

分かるよおっさん
些細なきっかけだけど
これも何かの縁だ
今夜は飲もう

翌朝の電車でおっさんと
出会い頭に挨拶し
また今晩、と

おっさんと待合せ
存外、悪い気は
しないもんだ

少し冷えてきた夜風に
身震いして
時計を見た

おっさんは来なかった
連絡もなかった
おっさんを数日後の
お悔やみ欄で目にした

切ないよおっさん
一期一会とは言うけれど
こんなにも唐突か
今夜は一人で

あの日の店に行ってみた
マスターは覚えていて
今日は一人?と訊いてきた

おっさんはもう来ない
連絡もとれない
おっさんの話をもっと
いろいろ聴きたかった

苦いよおっさん
ひとり酒はこんな味だったか
こんなにも辛辣か
今夜も一人で

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【おっさん】

70年代フォーク聴いて一泣きして一睡して風呂あがりに浮かんだメロディーを忘れない内に一気に書き上げたらこんなことに。

いつもと違う作風で個人的に好きな作品の一つになりました。

タイトルからあんまり想像できないような流れになってると思います。

一期一会とか、恋愛でなくても叙情的な雰囲気を感じて頂ければ幸いに思います。

ボカロで歌ってもらえるとするならこの雰囲気はテトさんじゃないと合わないかなあとか。

閲覧数:153

投稿日:2016/09/10 02:32:57

文字数:574文字

カテゴリ:歌詞

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