クイムナプヤレ

 かつて隕石が世界を焦がした
 2017年から数えるのをやめた
 生き延びたものは、その身を寄せ合い
 冬に耐えきれぬものから息絶えていった

 一年が経ち
 十年が経ち
 長い冬は終わりを告げた
 百年が経ち
 千年が経ち
 人は文明を取り戻した

 かつて空だった錆色の天蓋
 汚染予報はいつだって、曇りのち危険
 かつて街だった虹色の砂漠
 防護服を着た男が、それを見つけ出した

 一年のあいだ
 十年のあいだ
 暗闇のなか待っていたんだ
 百年のあいだ
 千年のあいだ
 開かれるのを待っていたんだ

 消えかけた文字で
 タイムカプセルと刻み込まれたその箱に
 声が詰まっていた
 カプセルのなかの明日宛ての手紙
 そのなかのある一通を 男は手に取った

「届け、届け、届け、僕の言葉
 届け、届け、届け、僕のこころ

 この手紙を読む明日の人々へ
 僕たちは最後まで笑っていました
 僕はすぐに死ぬ
 未来は途切れる
 ありがとうを伝えるには
 時間が足りなくて

 届け、届け、届け、あと一時間
 届け、届け、届け、お願いだよ」

この作品にはライセンスが付与されていません。この作品を複製・頒布したいときは、作者に連絡して許諾を得て下さい。

クイムナプヤレ

閲覧数:195

投稿日:2017/03/09 00:16:29

文字数:481文字

カテゴリ:歌詞

オススメ作品

クリップボードにコピーしました