A
遠くの夢を見たくて 溺れるみたいに眠って
出来るだけ深く 深く沈めて
A
象る 午前七時を
象る 生まれた日のこと
象る、大事な 遠い記憶を
B
昨日のこと 一つ 思い出せるかい
空は 端正に流れ出す
S
誰かの頭の中
群像に成り下がった私は
「冬の雲は、近いな」なんて思い
立ち尽くす
A
帰りの車の中で 聞いたあの音楽
大切な人の 大切な声
A
大人になるよりずっと 先に消えてしまいそう
かきけして早く あなたの声で
B
「明日のこと 何か 思い出せるかい」
わたし 帰れない 帰らない
S
誰かの頭の中
群像に成り下がった私は
私の中、許すのは私だけと
知っている
C
いつかはぼやけて うすれていくでしょう
君の顔も 僕の顔も
どうにもならないと分かっているでしょう
冬の向こう 星が降るよ
冷たい風が吹く
少し色づいていた
S'
誰かの頭の中
群像に成り下がった私は
こうも街に 立ち尽くしたまま
足が竦む
SS
誰かの頭の中
群像に成り下がった私は
遠い夢を見ていたようで 醒めた
視界 定まるよ
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