家に帰り飯を作り
魚えらにハサミを入れ
びくり動く肉にどきり
まだ息があったのかい？

殺しちゃったね
殺しちゃったね
殺しちゃったね
殺しちゃったね
本日の夕飯メニューは
何かな？
覚えてるかな？　

「さあね」

忘れちゃったね
忘れちゃったね
暖かいこと
生きてること
狭くて冷たい水の中で
一人生きてるから

そうだ
みんなそうだ
台の上で
サバかれるんだ
　
骨とワタが
抜かれるんだ
まだそこで足掻くのかい？

あばれちゃったね
あばれちゃったね
死なないんだね
助かる気なんだね

それでは今日の
メインディッシュの
食材料理を
捌いて行きましょうか

昨日横にたけた皿を
邪魔に思い脇に置いて
場所を作り思い新た気分を変え
腕をまくり髪を結び君を思う

君は一人蛇口見つめ
倒れ腐り死んだらしい
そこの鉄の黒い網の　
穴に虫がつまりびしり

部屋の前を通る人が
鼻をつまみ眉をひそめ
もしや思いベルを鳴らし
されど中の返事あらず

ドアが開いて異臭騒ぎ　
風呂の底に君はたまり
窓と外の境、淵に
あの世からの使者が集う

君はついに魚（うお）になった
すぐにサツが問いに来てさ
彼と最後あった人は
誰か尋ねそれは僕で

ひょっとして
ひょっとして
あの時気づいていたら…。

台の上の君を見るが
君は二度と僕を見ない
薄く開いて濁った眼の
君の中はひどく膿んで

忘れちゃったね
忘れちゃったね
暖かいこと
生きてること
狭くて冷たい水の中で
一人生きてるから

殺しちゃったね
殺しちゃったね
殺しちゃったね
殺しちゃったね
救えたかも、なんて
自惚れないほうがいいかも