「寝れないね……。まだまだ実験は始まったばかりさ」

 実験室とは到底思えない塞がれた地下空間で男は笑っていた。

 このオコサマたちの抗う姿を見て、笑っていた。

「ほら、早く。まだ……この実験は終わらせてはいけないんだ」

 そう言って男は沢山の機器類のひとつのボタンを押した。







「うまく、逃げられるかな?」









**










 ――ここはどこだろう。

 アヤノという少女が気づいたのは、まずそこについてだ。

「もしかしてここ……地獄だったり?」

 真っ暗な闇ばかりが広がるそこは地獄をも彷彿とさせた。

 しかし、

『ねえ』

「わわっ!!」

 暗闇に声が響いて、初めてそこが地獄ではないことを理解した(なぜ理解したか、その原理は幾分解り得ない)。

「……あなたは、誰?」

『生きたい?』

「え?」

『もう一度、彼に会いたい?』

 アヤノは空からの言葉を聞いて考える。彼、とは恐らく――あの人間のことだろう。

「……会いたい。もし、出来ることなら」

『それじゃ、私の姿見せてあげる』

 そして――その言葉と同時に暗闇が崩壊した。

 そこにあったのは、まるでクモの巣のように張り巡らされた赤い何か。運命の糸にも見える。

 その中心には少女が座っていた。アヤノはそこまで近づいていく。

 そして、少女は呟く。






『ようこそ、世界の外へ』






つづく。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

カゲロウプロジェクト 27話【二次創作】

『目が冴える話Ⅱ』+『目を逸らす話Ⅰ』

pixiv版カゲロウプロジェクト5巻分のストックを放出し終えました。以後、6巻分のお話となります。

pixiv版5巻:http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1261694

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この小説は以下の曲を原作としています。


カゲロウプロジェクト……http://www.nicovideo.jp/mylist/30497131

原作:じん(自然の敵P)様

『人造エネミー』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm13628080 
『メカクシコード』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm14595248
『カゲロウデイズ』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm15751190
『ヘッドフォンアクター』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm16429826
『想像フォレスト』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm16846374
『コノハの世界事情』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm17397763 
『エネの電脳紀行』
『透明アンサー』
『群青レイン』
『キミノメヲ』
『如月アテンション』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm17930619
『チルドレンレコード』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm18406343
ほか

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閲覧数:643

投稿日:2012/07/23 20:58:25

文字数:623文字

カテゴリ:小説

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