「じゃあ、いまはファッション・デザインをされているの?」
「ええ。もう一人のデザイナーと一緒に、“天和”というユニットを組んでいます」
電車のシートで、デフォ子さんとマコさんが話していた。

新進のデザイナーを支援し、安い値段で事務所用の部屋を貸す設備、
「ニコニコ・デザイナーズ・ビレッジ」。
デフォ子さんは、ここの面接に合格した。
今日、春からの入居の手続きを終えた。

その時、やはり手続きに来ていたデザイナーのマコさんと、
デフォ子さんは仲良くなった。
帰りが同じ方向だったので、2人は一緒に、いろんな話をした。

●ファッション・デザイナーのマコさん

すっかり打ち解けた2人は、途中下車して、
デフォ子さんの行きつけの「カフェ・つんでれ」に立ち寄った。

「事務所の設備、合格したんだね。オメデトウ!」
ルコちゃんや、モモちゃんが、出迎える。
「こちらは、やっぱり施設で事務所を持つ方よ」

「名護根マコです。よろしく」
「素敵なお洋服ね。ちょっと忍者ルックみたいで。さすがファッションデザイナーだなぁ」
ルコちゃんが言った。

そこへ、ソラくんが、みんなの注文のカレーを運んできた。
「うちの、カレー料理人のソラくんです」
デフォ子さんが紹介する。
「ちょっと...。せめて調理スタッフといって」
ソラくんが苦笑する。
「この店の、優秀なシェフですよ」
店長のモモちゃんが言った。

●これからの目標は...

その頃、デザイナー支援施設「ニコニコ・デザイナーズ・ビレッジ」では。
所長さんたちが、きょう手続きを終えた、デフォ子さんの申込書を読んでいた。
ここの所長さんは、“ビレッジ”にひっかけて、村長さんと呼ばれている。

「事務所名“ツィーティ”、メンバーは唄音ウタ、まる子、か」
彼らは、デフォ子さんが申込書に書いた“入所後の目標”に目を落とした。

“今後の目標”
・企業体として、充実した創作環境を有効に利用する。
「ほほう」
・よりスムーズな、作品と市場のニーズのマッチング。
「ふむふむ」
・たくさん作品が世に出て、お金持ちになる。

「こ、これは...」
村長さんとスタッフは、顔を見合わせた。
「なかなか、正直だね。さいしょはクールでシャープだったが」

「村長、この人はいわゆる“クーデレ”でしょうかね」
「クーデレ?」
「ええ、ふだんはクールで、時おりデレッと、可愛い本性が出る」
「そうかも知れんな」
みんなは笑った。

だが、彼らは、口の悪い友人たちが、
彼女を“クーボケ”と呼んでいるとは、知らなかった。(-_-)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

玩具屋カイくんの販売日誌 (46) 新しい事務所がスタート

作品や製品が世に出るのは、うれしいですね。
今回の参考はこちらです http://www.designers-village.com/

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投稿日:2010/02/20 10:47:33

文字数:1,079文字

カテゴリ:小説

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