梅雨明けによる鬱陶しい位の気温で目覚めた。
全く、梅雨明けするのも早すぎる。
異常気象もここまでイっちゃったらそろそろ終わりも見えてくるんじゃない?
横にいる〝一応の〟恋人の存在に気づいて、溜息をつく。
そっか。イっちゃったのは異常気象だけじゃない、私もだ…
「あれ?もう朝か…あ、お早うミク」
「お早う…ミクオ」
「ははっオレのことはクオでいいって言ったじゃん!もう忘れたの?」
「ゴメン…」
クオと私は前まではただのクラスメイトだった。
でもいつの間にかクオが私のことを好きで、私といえば別にそこまで好きじゃなくて。
ここまで来れば分かる人もいるかもしれない。
私はただ、クオがくれる快楽に溺れちゃってるだけで、クオのことはどうとも思っていない。
なのに。
クオは私のことを愛してくれているし、私がクオのことを愛していると思っている。
「ミク大丈夫?」
結構かっこよくて、優しくて、すごくいい人なのになんで私みたいな悪い女に捕まっちゃったの?
「なんでもないよ」
世間様では私のことを「遊びの恋愛」とでも言うんじゃないかな。
私はそれも一つの愛の形だと思うけど・・・
果たしてこれは本当に愛なんだろうか?
「遊びの恋愛」を愛と呼べるのだろうか?
*
家に帰るとすごく不愉快になった。
「また・・・どこに行ってたの?」
「彼氏の家」
母さんは諦めたように溜息をついて去った。
前までは私のために怒ってくれたけど、聞く気がなかった。
だから諦めた。
でも、夜母さんが密かに泣いていることは知っていた。
「ごめん」
小さく呟いたそれが、母さんの耳に入ったかどうかは分からない。
「ミク」
ルカ姉が立っていた。
ルカ姉はいつも一番の理解者なのに、今日は怖い顔をしていた。
「遊びなんて…貴方のためにも相手のためにもやめたほうがいいわ」
「遊び」と言われてなぜかイラっときた。
別に遊んでるわけじゃない、私だって・・・
・・・・・・・・?
私だって・・・「何」?
「私だってクオが好きだから仕方ないじゃない」
私の脳内環境は「愛」という今まで無縁だった得体の知れないものに侵されてしまったということを自覚してしまった。
気づいた瞬間、頭の中はクオのことばっかり。
優しくて、かっこよくて、悪い女につかまちゃったクオ。
「本当に好きって言えるの?」
「言える…だからルカ姉は構わないで」
クオが好きだからこそ、考えることがあった。
私なんかに捕まってないで、幸せになってほしい、という気持ちと、このまま私が捕まえていたい、という気持ち。
心内環境は真っ二つなのに、それを制御できないのは子供の証・・・
今は胸を張ってクオのことを「恋人」と呼べるだろうか?
どこにでもある、曖昧で純粋な感情論をクオに告げてみようか?
クオから返ってきた言葉には現在地点を確認できるものが詰まっているのでは?
ケータイを取り出して、「クオ」の欄を出した。
今までは、嫌なことがあったら快楽を求めて電話するだけだったけど、今は違う。
幼い私に戻ったかのように純粋で、それでいて未成熟だった。
「ミク?どうしたの?」
「クオ?あの…今からクオん家行ってもいい?」
「いいけど…どうした?」
「行ってから話すね?」
ただ、これだけの会話に喜ぶ自分が居る。
前までは好きじゃなかったのに、いつの間に好きになっちゃったんだろう?
「恋愛」という感情論は極めて難しいものだと知った。
*
「クオっ」
クオが出てきた瞬間、抱きついた。
すごく恥ずかしかった。今まではそんなことなかったのに。
「わ…ミクどした?とりあえず、入って」
「あの…正直に言うと、今までクオのこと…なんていうか、好きじゃなかったんだ…」
クオの顔がみるみる青くなっていくのが分かった。
「でも、今は…なんか、クオのこと…好きになっちゃって」
クオは再び顔を上げた。
今度は複雑な顔だった。
「クオは、私のこと・・・その、好き?こんな悪い女でも、好き?」
「オレは・・・・最初から、ミクが好きだよ」
現在地点は「恋人」、そう言える。
クオのことを好きになったからといって、私が良い女になる訳ではなかった。
「今日はどうシたいの?」
「・・・・・・生でシて?」
クオと幸せになりたい反面、クオを利用する私が居る。
この報いは、そう近くないうちにやってくる。
【裏表ラバーズ】表裏一体の恋愛感情 1【自己解釈】※改訂版
申し訳ありませんっ(土下座)
前の解釈では物語の展開上続けるのが困難とみなしました。
なにしろノープランだったので・・・orz
前の解釈は水に流して読んでいただけると幸いです。
一度上げておいて、本当にごめんなさい。
今度の解釈は、前より明るくなってます。
ただ、前より拙くなっておりますorz
コンセプトは、「遊びだったのにいつの間にか本気になっちゃった」です。
前と変わったことは、設定くらいで、直接的な解釈はほとんど変わっていません。
早口ミクが素敵な本家様↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8082467
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