古びた壁にカビ臭い廊下。

靴音がカツカツと響くなか、
先ほどの声が気になって仕方なかった

”ダメ”

消え入りそうなほどの
透明な声がひっかかる

わたしはあの声をどこかで聞いたきがする


ねぇ、と声をかけようとしたとき
彼は走りだした

「え、え?」
「・・・追われてる」

何に?と聞くまでもなく理解した

すぐ後ろから、まるで影かのごとく
ぴったりくっついてくる白い物体

「なに・・・あれ・・・」
「わからない、けど」


つかまったらいけない気がする


切羽詰まったその声に私はもう一度後ろをむいた

まがまがしいものとは程遠く
神聖なものにすら感じてしまった

けど、つかまっちゃいけない

”いま”は私たちが目指す場所の邪魔になる

そう思えてしまうのは
終わりの存在に気がついたからだろうか・・・。



「・・・階段だ」

飛び乗るように、2段飛ばしで駆け上る
つられてそれにならった
後ろを見た

けど、


白い影は、もういなかった
静けさだけが空気をとりまき
むなしさが広がった


「・・・」
「・・・行こう」


何も話さない
またカツカツと歩きはじめた

手のぬくもりだけが
彼と私とつなぐ唯一の感覚だった。


今だけは、どうか…

周りの黒くすすけた壁も
科学に慣れ親しんだ薬品のにおいも
だんだん淡い色になり
かいだことのないにおいに変わった


その頂点には
最初の扉同様
こばんでいるのかいないのか
わからない重苦しい扉が
そこに主のように佇んでいた


「いい?」
静かに彼が聞く
答えなんて初めから決まってる

選んだ道に後悔はないよ

「・・・・うん」


やがてそれは
やっぱりあっさりと開き

私たちは光に包まれた



最後にきこえたのは

”ダメ”という

”私”の声だった

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

WORLD'S END UMBRELLA自己解釈その2

夢をみていたいの
許されない世界だからこそ、憧れも強くなる

閲覧数:326

投稿日:2010/04/05 17:07:36

文字数:769文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • 樋浦きらこ

    樋浦きらこ

    ご意見・ご感想

    「声」は自分の声だったんですねー!
    という事は自分で自分を拒んでいたという解釈ですか。
    雰囲気の表現がやはり素敵です(´・ω・`)尊敬しますw

    読みやすくて助かります。解釈一緒(かな?)なのに
    さらっと書けてます! お見事です♪

    それではではでは。(謎

    そういやハチさん新曲出しましたね!

    2010/04/08 06:26:37

    • 紅亜

      紅亜

      またまたいらっしゃいませです!w
      褒め言葉ありがとうございます><素敵だなんて・・・っ!
      もっと伝わりやすい文になればよいのですが;;
      読みやすいですか!?よかったです^^

      新曲ききました!音と声がもう「ハチミク」でしたねww
      王道のようかと思いきやまだまだ謎が残ります・・・
      ハチさんの歌詞は奥が深い´`*

      2010/04/10 22:09:16

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