エニシダ

浴衣の裾をめくりプールサイドに座る
匂いも歓声も届かない
水に揺れる花火

さめざめと見てはひとつ
「私もう夏は嫌い」

鼻緒で擦れた足の甲
結った髪は解いて
今は泣いていたい

静寂にエニシダ
私を映して途方に暮れている
当てつけにさんざめく宵宮帰りの声
「そう、私は独りね」
未だに上がる花火
綺麗な程に深く切りつける刃の様


去年は貴方と二人で
あの宵宮に行って
「離れないよう手を繋ごう」
その言葉はその場だけ?

淡桃の真新なペディキュア
貴方に見せたかった

左手、役目を無くした
旬花の髪留め投げて
今は凪いでいたい

水底、トリトマ
貴方を思うと胸が痛むから
「見えなくなってしまえ」と
宵宮帰りの声
そんな私の頬、未だに落ちる涙
綺麗な姿にもう今宵はなれないわ


夜蝉と素足の音が
仄暗い道に憂いを

嗚咽がどうにも止まらない
胸の痛みまでも
ずっと増えるばかり

静寂にエニシダ
私を映して途方に暮れている
今更鳴り響いた携帯電話の音
「もう貴方に会えないわ
泣き腫らしているままじゃ」
二重に聞こえる貴方の声
だけどこのまま
知らぬふりして夜を行く

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

エニシダ

閲覧数:273

投稿日:2021/02/12 21:50:02

文字数:493文字

カテゴリ:歌詞

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