「はあ・・・。」
部屋にはミク姉・メイコ姉・リン・カイト兄がいる。僕は一人溜息を繰り返している。
「あら?レンどうしたの?元気ないようだけど」
メイコ姉が話しかけてくる。
「いや、あの、パラジクロロベンゼンって曲あるでしょ?あれの意味ってさあ、実は、ってあれ、聞いてませんねはい。」
溜息が増える。もう話題はミク姉の新曲に向かっている。
「あのね、今度の曲ね、ギャグ系の曲なんだよねー」
「あらそう、よかったわね。ミクは人気者ね。」
「えへへー♪」
僕はリンなら聞いてくれるかなとリンに話しかける。けど
「ねえね
「うるさい!ミク姉の話聞いてんだから話しかけてこないで!」
と一喝されてしまった。うつむき際にカイト兄のうずうずしてる顔が見えた。僕に話しかけてほしんだろなこの兄馬鹿が。
「レン君、僕に話したいことはないのかい。」
「うるさい黙れ何もないわこのバカイト。」
「ひどいー。ボクはお兄さんだぞー。」
ああ、ウザイウザイ。僕は見下した目でカイト兄を見て溜息をついた。
「レーン、何そんな顔してるの?パラジクロロベンゼンの意味って何なのよ?」
おおっ、リンが気づいてくれた。奇跡。
「いや、パラジクロロベンゼンって殺虫剤だから・・・」
「え?いまさら?」
ま、まさか知ってたのかこの人。じゃあ、止めろよ、姉としてさ。
「ああ、パラジクロロベンゼンね。たんすに・ンだったわよね。」
「うん、うちでもつかってるよねー。」
おいおいミク姉メイコ姉まで知ってたのか。あれ?そういえば僕がその曲歌うって行ったときみんな変な顔してたなあ。
「レン、悲しいならおにいちゃんが慰めてやるからこの胸に飛び込んでこい!」
「うっさい。てかお前マフラーの部分蒸れててくさい。」
「あー、ひどいぞ!」
僕は嘲り笑いを向けほかのみんなのほうを見た。
「まあまあ、いい曲じゃん。」
「そうよ。元気出しなさい。」
「うんうん!ポジティブにいこー!」
みんな優しいなあ。うるうるしそうだ。
「ってか、みんなそんな題名の意味なんてかんがえないっしょ。」
「そうそう。そこまでメジャーな曲じゃないもの」
「わかるわかるー」
前言撤回!何だみんなして!
「・・・・、一言余計なんだけど。」
みんなはっとした顔をする。一人カイト兄だけがへらへらしてる。
「いや、あ、その、」
「うん、えっと、なんていうか」
「・・・・・・・」
みんな正直だな過ぎるくらい。
「もういーよ、わかったから。」
「あ、うんあははは」
「あははは」
「あははは」
「あははははは」
まったくいつまで続くんだ、この笑いはと重い僕は顔を引きつらせた。まあ、すっきりしたから別にいいかな、とも思ったけどね。

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パラジクロロベンゼンて、何だと思う?

閲覧数:126

投稿日:2011/07/02 22:25:00

文字数:1,121文字

カテゴリ:小説

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