深い深い森の中
少年が独り泣いている
鳴いている
言葉を知らない少年の
孤独な叫び
「ねぇ、答えて」


群れをはぐれた一匹の狼
見た者全て食らう化け物(クリーチャー)
森の中 黄色の髪の赤ん坊
狼は巣へと連れ帰った


いつか沈む星を眺め
独り走る狼少年
遠くに響くざわめきと
森の向こうに輝く灯火
それは暖かな談笑
それは少年の知らない温もりの家
「誰か」


黄昏に流れて消える香り
宵の明星に照らされた赤き悲劇
孤独に身を浸す暗き森で
少年は孤独を孕んだ泣き声を聞く
「誰か」


黄色の髪の独りの少女
赤き悲劇の目撃者
尽きぬ涙で森を潤し
肩を震わせて振り返る
餓えた瞳の輝きに
少女は胸の痛みも忘れて駆け出した


森と月光の中
追い駆ける狼少年
ただ温もりに触れたくて
待ってと言う度に少女は泣いた

少年は知っている
森の暗き水流
それは冷たく抗えない流れ
それは少年の望まぬ終焉

息を切らせて逃げる少女
言葉を知らない狼少年
弱き者は出演者(ヒガイシャ)となり
無知なる者は知らず
悲劇の幕を開ける


少女の涙が激流に落ちる
濡れた瞳は月を映し
言葉を知らぬ少年は
叫びを上げて腕を伸ばす

あぁ
鋭き爪は大切な者を傷付けただけ

鮮血の赤さは悲劇の象徴
黒き夜に散りばめられた
星影の孤独


流れを辿り引き上げた肢体
冷たい流れに奪われた温もり
向き合った死体

魂の抜け殻に心奪われ
悲劇の道化に成り代わる

名も知らぬ少女を悼み
返らぬ声を待ち続け
鳴き続け
泣き続け
「ねぇ、答えて」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

星が見下ろす物語Ⅱ(連作)『黄色の少年』

野生児レンです。
改良の余地ありだなぁ、と自身でも思います。
アドバイスありましたらお教えください。

連作なので、Ⅰ『赤髪の魔女』http://piapro.jp/content/?id=l1gml03w9zuoj272&guid=on&piapro=d441829713229cb459ef55f7ac8a459d&guid=on
Ⅲ『青の王』http://piapro.jp/content/?id=x2zj6tkvlkctdg8g&guid=on&piapro=8e557725dd21eecf884f7a20e40a318e&guid=on
Ⅳ『薄紅の女王』
http://piapro.jp/content/?id=zlu8y2xyc2wx6wl8&piapro=6926c24dbf810d4987d2ae19d75f8be3&guid=on
もお暇ならどうぞ。

閲覧数:33

投稿日:2009/08/17 08:12:37

文字数:658文字

カテゴリ:歌詞

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