白銀のダイヤモンドダスト

この世の事柄には終わりと始まりがある
アイフォンもまたしかり
この世界での一日の始まりを朝と言うならば、アイフォンの朝は起動といえる
この世界での一日の終わりを夜と言うならば、アイフォンの夜は電池が切れる時と言えよう
このようにこの世の事柄は始まりを向かえたあと必ず終わりを向かえる
だがアイフォンには一つだけこの世の事柄と違う点が一つあるといえるであろう
それは「永遠」があるということ
とある方法を取る事により永久に朝を続けられる
逆もまたしかり
そしてこのようなアイフォンを巧みに操る人たちがいる
そう・・・彼らは


World End



 近づく先生に対してEndoはアイフォンを身構えて戦闘体制を取ると、先生もアイフォンを身構えて立ち止まった。

「アイフォンを身構えるという事はWorld Endで間違いないね」

「先生…一つ言っておきたいことがあります。僕はそのようなものに縛られた覚えは無い。縛られる予定もない。一応World Endからはメールはきました。だけどね…先生。僕は僕であり続けるんだ!」

 そう叫んでドヤ顔で決めると先生は一つため息をついてから優しい口調でEndoに言った。

「まぁ、私もWorld Endと言うものが本物か確かめてみたいだけだ。ほら、メール文に書いてあっただろう。最後にWorld Endに選ばれた者が学校に入門してから40分後、WEF(World End Field=この世のものの全てをコピーした領域。又は世界)が発動して生き残りを賭けた戦いをする。と」

「メールは消したので最初と最後しかみてませんよ。」

「なるほどね。Endo君。君が最後に登校してきた生徒だ。君が妄想に浸り35分、登校してきた時間を合わせて39分がたつ」

 それを聞いたEndoは顔を桜の花のような色で染めはじめる。そしてこのように妄想をひろげる。39分間も授業を放りだして僕を見ていた→僕に気が合ってか僕という美の象徴に酔っていた→抱いて!  俯きながらEndoは先生の気持ちに答えようとした。

「ずっと僕の事を見ていたんですね。そっその…男性にその様な事を言われたのは初めてなので…その」

 そう言いかけると40分が経ったのか、WEFが発動して世界の色が白と黒の景色に変りはて、唯一色があったのがアイフォンであった。そしてWorld Endの世界が確証されると「ふ…ふふふ」不敵な笑い声が先生から聞こえる。その笑い声を聞いてかEndoは染めていた頬が元に戻り、いやな予感を感じながらも先生の方を振り向いた。

「ははははははははっ!」と大きく笑ってから言葉を続けた。「World Endは本物ですよ!これで遠慮なく生徒を殺れます!!ははははははっ!」

 Endoは先生のその不気味さから一歩後ずさり、質問する。

「先生…生徒を殺るってどういうことですか…」

「そのまんまの意味ですよ!大体むかつくんですよ。課題ができなければいい訳をし、テスト前に勉強を教えて欲しいと言われ放課後にその子一人に対して補修を開いたにもかかわらず、教えた教科の点数が10点台。私の教えた事と時間を無駄にされる。あげくの果てにはその子から、僕は先生よりも頭いいと思うんですよね。と言われ頭にこないやつがいるか!」

 長い先生の愚痴に対してEndoは気まずそうに答えた。

「すみません先生。聞いてませんでした」

「貴方の事ですよ!Endo君!」

 そう叫びながら指を指し、少しの沈黙が流れてから先生は言葉を続けた。

「Endo君。冥土の土産です。いい事を教えてあげましょう」

 先生はスーツのポケットからアイフォンを取り出し操作を始めた。まう画面の右上にあるボイスメモという音声録音ツールを起動、次に先ほどのEndoの妄想+独り言の音声を再生し能力を発現させた。

「男性はね、30歳を過ぎても童貞だと魔法が使えるようになるんですよ」

 そう言うと先生は後方へ逃げていくようにみえた。走るように足音を大きくたてながらもロッカーを一周してEndoの背後を取ると後頭部を拳で強く打撃させる。そのままEndoはドミノ倒しのように綺麗に倒れて顔面を地面へと強打させてしまった。

「音をたてたのに気づかなかったという事は聴覚を失ったか。私の能力である人の五感をランダムで二つ消す事ができるというものも本当らしいな」

 Endoは「痛てぇ…」と呟きながらも鼻から流れる血を拭いながら徐々に立っていき先生を睨め付ける。そして鼻を押さえながら叫んだ。

「よくも殴ったな!親父にも殴られた事無いのに!」

「ふむ、痛いという事は触覚はあり、私を睨め付けたという事は視覚もある。ならば残るは嗅覚か味覚か。どちらにせよ神は私に味方しなかったか」

「先生。貴方は僕に手を上げた。いいですか。僕に手をあげたんですよ!僕に手をあげていいのは…」脚を開き、体を前屈みにしてEndo式ランニングポーズを取ると言葉を続け・・・「SMプレイの時だけだ!」と叫び突進した!

「本当に気持ち悪いですね。Endo君は」

 先生はヒュルリと華麗に突進を避けてから続けた。

「実は君の後頭部を殴ってから吐き気が止まらないんだ。生理的に無理だというのだろうかね。なるべくは君に触れたくないよ。」

 そう言いながら先生はスーツのアイフォンが入っていたポケットとは違うもう片方のポケットからハンカチを手にとり、丁寧に自分の手を拭く。するとポツッ、ポツッと手の甲に白い物体のようなものが降ってきた。周りを見て見るとEndoの突進した軌跡が残るように多くの白銀の結晶が雪のように舞っている。まるで白銀の世界が今ここに表されているような美しい光景とも言えよう。もしこの情景にタイトルを付けるとしたら私ならこうする。
         「白銀のダイヤモンドダスト」
 宝石が舞う様な超常的なまでの美しさ。だがその白銀の世界へ囲まれている先生からみれば、それが逆に、言い知れぬ恐怖を募らせた。

「ふっふつくしい…だがなぜだ…先ほどの吐き気が増してきている…」

 先生は手で口を押さえると、その瞬間噴水のように吐瀉物が口からあふれ出る。

「なに!目が!」

さらにダイヤモンドダストが眼に付着し視界を阻まれた。

「ふっ、僕は2週間!風呂に入っていないんだ。だからこの情景を表現できる!」

Endoはそう叫び、このチャンスを逃さまいとダイヤモンドダストを散らしながら再び突進し、回転受身のような動作で先生の背後を取って膝の裏をローキックした後、先生の頭を脇で抱え上げながら締め上げる。

「とぉ~おのクゥゥゥゥゥウンンンン!」
 
「グッ…やっぱりムカつくガキだよ。君は」

 先生がそう言うとするりとヘッドロックを抜け、後退して体制を立て直そうとした。が息をきらした様に荒い息をたてている。するとEndoは先生に近寄っていき先生との距離が約3メートルのところで…

「先生、仲良くしようよ」

  ーーーアイフォンを身構えたーーー
   ---そしてこの笑顔であるーーー

 Endoはカナル式イヤホンを取り出しアイフォンへと取りつけ、曲を流した。

「先生~。良い曲があるんですよね~。聞けば好きになると思うので聞いてくださいよ。」

 そういいながらEndoは右手にR、左手にLのイヤホンを構えて先生の元へ近づいた。すると先生はEndoに怯えるように尻餅をつきながらも後退していく。

「やめろ!くるな!くるなーーーーー!」

 ダイヤモンドダストにより精気と力をだいぶ奪われ、抵抗はむなしくもEndoに破られ両耳にイヤホンを着けられてしまった。先生はあまりのも拒絶反応で気絶をしながらも痙攣し、口から泡を吹いていた。
そしてEndoは微笑む。

 「先生感動しすぎ」





World End残り25名

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

World Endo i-phone3

ある日のとある学校、平穏な日常を過ごす人々…主にアイフォンを使う人々に見知らぬアドレスからメールが届いた。 「君はWorld Endに選ばれました。」 メールが届いたその時、彼らの運命が大きく変り始める。 World End一日目にして最初の戦い。Endoが妄想に浸り終えると目の前にはアイフォンを片手に遠野先生が立っていた。ーアイフォンバトルアクション&Endoパロディ第3弾ー

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投稿日:2011/08/05 07:02:23

文字数:3,275文字

カテゴリ:小説

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