A
あの日最後の夕餉
特別じゃなかったけれど
暗い 食卓の上は
もうとうに冷えている
B
狭い鍋(せかい)の中で 煮崩れしている
いびつになった じゃが芋が
ぼくらの関係を 映し出している
ような気がしてしまうんだ
A
あの夜孤独(ひとり)の夕餉
珍しいことじゃないけれど
ぼくを 見つめていた笑顔
白い四角になっていた
B
箸をつけただけで 割れてしまうくらい
脆くなっている じゃが芋は
込み上げる想いを 抑えきれなくなって
涙流した君のよう
S
白く油の浮いた
黒く煮詰まった 煮汁は
くどくしつこい味がする
それは まるで 僕自身のようだ
SS
あぁ最後の肉じゃが
別に嫌いだったわけじゃない
でもぼくには言うことができなかったよ
SSS
もう今更だけど
今日もおいしかったね
いつもありがとう
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