「よし、復活!」
「食い過ぎだろ…。ゼブラの木徒思い出した…うぷっ…気持ち悪ぃ。」
「女の子にとって甘い物は別腹っ!」
「はいはい、それで?探す奴ってのは?」
私は翡翠さんの特徴を判るだけ書いてみた。似顔絵も描いたんだけど見た瞬間溜息で即却下されちゃった。書き留めたメモを見ると羽鉦さんは暫く考えてからスタスタ歩き出した。
「こっちですか?」
「いや、ちょっとネコの手でも借りようかと思って。」
「ネコの手?」
「そ、ネコの手…。」
ざわっと鳥肌が立った。白くて長い髪と、ガラス細工みたいな緑の目に怪しい光が宿って…まるで…本物の獣みたいな…。
「ニャー」
「ミャーミャー」
「わ、ネコ…が…が多い!ネコ多い!恐い恐い!!」
ネコがわらわらと集まって来た。これもBSの力なのかな?こんなの初めて見たし初めて聞いた、魔法使いかネコ使いみたい。でもいい大人が…ネコに囲まれてると何かマヌケ。
「それっぽい奴が西通りのショップバイトに居るみたいだってさ。行くの?居るとは
限らないよ?」
「見に行ってみます!」
「はいよ。」
「…手伝ってくれるんですか?」
「責任上ね。この辺治安良くないし。」
「春雨っぽいけど優しい人だったんですね!」
「置いてって良いか?」
ネコ情報を手掛かりに私達は西通りのショップに来てみた、が。そこには「定休日」と書かれた札が掛かっていた。
「あぅ~…閉まっちゃってますねぇ。」
「こればっかりは仕方無いだろ、また次の機会にでも…。」
「暫くオフ無いんです。コンサートに向けてトレーニングも増やしてるし。」
「困ったねぇ…。」
結構歩き回って気付けば夕方になっていた。やっぱり手掛かり少な過ぎるから無理なのかな?服返して謝りたかっただけなのに…。
「も~う!菖蒲さんのバカー!!出て来ーい!!」
「叫ぶな、恥ずかしい。」
「…仮にもアイドルがはしたないですよ、冰音リヌさん。」
「菖蒲さん!」
「本当に出た?!」
「ネコ山と声が気になったので来てみたらバカと…。」
「あ、ち、違うの!これっ!」
慌てて服を目の前に突き出した。翡翠さんはキョトンとして一応受け取る。
「ああ、捨ててくれても良かったのに。」
「…ごめんなさい…。」
「何がです?」
「ダメって言われたのに、無神経な事してごめんなさい。それに酷い事言ったのも…。」
「それだけですか?」
どうしよう…怒ってる…?ダメって言ったのに探したりしたから…!
「ごめんなさ…!」
「そんな事でわざわざ謝りに来るなんて、おかしな人ですね、全く。」
「だ、だって!捨てて良いとか自分の事化け物とか言うからっ!…私あれから
凄い後悔してっ!お…怒らせちゃったから謝ろうと…思っ…て…!」
「ちょ…泣かないで下さい、その…私は慰め方を知らないので。」
「ごめんなさい…!」
「その…も、もう良いですから、怒ってませんから…リ、リヌさん?あの…
もう泣かないで下さいって。」
怒ってないって聞いてホッとしたせいか、歩き疲れていたせいか、そのまま泣きじゃくってしまった。困り果てておろおろする翡翠さんを見ながら、羽鉦さんはクスクス笑ってた。
BeastSyndrome -26.怒らないで-
※次ページはネタバレ用の為今は見ない事をオススメします。
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ご意見・ご感想
遊羅@右肩逝きかけ
ご意見・ご感想
……おろおろするひーたん…
これもまたよし…
え?なんですか?これは萌え死にさせるための小説ですか?w(さーせんwww
2010/06/03 19:24:07