　思い出を
　綺麗なものとして閉じ込めるには
　まだ、時間が足りていなくて

　そういえばと
　ふと思い出せないくらいには
　遠い、昔のことすぎて

　いつのことだっけ？
　なんのときだっけ？
　誰とのことだっけ？

　全部、解けてしまう

　後悔と虚無感ばかり
　鮮明に心に降り積もる

　いつの後悔？
　なんの後悔？
　それを忘れた虚無感

　悪循環だ

　記憶を探って
　消える前に手繰り寄せて
　これでもないあれでもないと
　がむしゃらに探し求めて

　見つけたと思って
　握りしめれば
　はらはらと崩れ落ちて
　解けて消える

　何も残らない

　僕が今生きているのは

　誰のおかげだったの？

　雪は、解けて

　雨粒になって

　地に沁み込んで
　消えた