朝起きたのは、ケータイが鳴ったからだった。

「もしもし?」

「ミク?ごめん、起こした?」

「くくくくクオ!?」

ロクに発信源を見てなかったので、危うくケータイを取り落とす所だった。

「あのさ…今日、来れない?」

「今日…」

今日は日曜日。
カイト先輩と約束した日だ。

「今日は…カイト先輩って人に会わなくちゃいけなくて」

「誰?」

クオの声色に不安が混じった。
どちらがクオを傷つけないのかはもう、分からない。

「ごめんね」

「どうしても…ミクに会いたいんだけど」

私は最初からこれを待っていたのかもしれない。
どうしても君じゃなきゃ駄目なんだ、と。
私が利用したのはカイト先輩?それともクオ?

「分かったよ…好きなように…シて?」

カイト先輩にいけなくなった、というメールをしてからクオの家に向かった。













「…カイトって…誰?」

「うん…この前、ちょっとだけ仲良くなっちゃって」

「どこまで?」

「別に…そこまでいってないよ」

クオの顔は怒りと悲しみが交差していた。
それと対照的に私は、少しの喜びを感じていた。

やっぱり、私はとてつもなく悪い女だ。

「俺の…何処が駄目?」

「クオのせいじゃない―――」

全部、私が悪いんだから。
ごめんね、ごめんね。

私は欲に負けちゃったの。
クオが好きでも、好きでたまらなくても、欲には絶対勝てないの。



大体、愛なんて無くて―――



「クオ…でも、好きだよ」

罪悪感と、悦びと、償いと、その他いろいろを溜め込んで。
クオがくれる全てを貰ってぶっ飛んで。
クオを縛り付けて。



これを愛と呼べるでしょうか?



カイト先輩とまた新たな欲を満たそうとして。
利用して、傷つけて。
ついにはクオを傷つけてしまって。



これを私だと言えるのでしょうか?



私は、ただの欲に溺れてしまった一人の女に過ぎない。










ふと、我に返った。
いや、我に返ったというよりも、目覚めた、と言うのかもしれない。

目の前にあるのはクオでも、カイト先輩でもなくて、自分の部屋の白い壁。

学校に行くとクオがおはようと声をかけてくれた。
一緒に行こう、と言ってくれた。

どこまでが現実で、どこまでが夢、あるいは妄想なのか?

結局は、愛も、私も、欲と云う愛も、欲に溺れる私も、居なかったのだ。

全てが現実だとしても、クオと私は全てをリセットしたように振舞うことにした、ということであって…

裏表のセカイは今日も、くるりくるりと反転を続ける。

一人の少女にとって、残酷に。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【裏表ラバーズ】表裏一体の恋愛感情 5【自己解釈】

夢オチ?いいえ、パラレルワールド的な何かです。
自分でも良く分かりません。
でも良く分からなくていいんだと思います。
正しい解釈を知っているのは作者様だけだと思うので。

一応、最終回です。
5話にしては長い道のりでした…
「あいあいあいあいない」は、愛、I、愛、I、無いと解釈しました!
そうしたら何故かパラレル的な何かになりました…

ミクはこの後、反転を続ける世界の中で答えを見つけていきます。
その辺りの描写は省きましたが…(汗

ここまで見捨てずに駄文を読んでくださった皆様、ありがとうございました。
やり直しのことを、本当に反省しています。
最後にもう一度、ありがとうございました。


早口ミクが素敵な本家様↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8082467

閲覧数:865

投稿日:2011/08/16 13:11:19

文字数:1,104文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

  • 関連動画0

  • 紅華116@たまに活動。

    最終回お疲れ!! この解釈はとっても気に入ってたから、最終回で少し寂しい…
    なんかミク切ない…でも、しょうがないんだろうね。きっと!!

    侑子の解釈は最後までネ申だね!!
    途中でやり直しとかあったから大変だったろうけど、凄くいい解釈だと思うよ~^^
    次回作も楽しみに待ってるね♪ノシ

    2011/08/16 20:28:47

    • 楪 侑子@復活!

      楪 侑子@復活!

      ありがとう!本当にありがとう(ノД`)・゜・。
      やっぱりハッピーエンドで終わらすことが出来なかった。。。

      侑子の解釈は最後までgdgdだったで…
      wowakaさんの曲は解釈が難しい!だからそう言ってくれると嬉しくて死ぬ!
      次回作はばーすとをチョコチョコ書きながら夏が終わらないうちに夏祭りネタかな?

      2011/08/18 11:10:38

オススメ作品

クリップボードにコピーしました