次の日、るかは頼まれていた仕立物を届けに町へ出掛けました。
町はいつもと違い何やら不穏な空気に包まれています。
「こんにちは。何かあったんですか?」
るかは届け先の人に尋ねました。
「ああるかちゃんは知らないのか…実は昨日この近くで人が殺されたんだよ」
「まぁ人が…!」
「まぁな…私も噂で聞いたんだが殺されたのは若い女で首を刃物で切られてたらしいよ…しかも着ていた着物が剥ぎ取られてたとか」
「まぁ怖いわ…」
「全くだ……るかちゃんも帰りは気をつけなよ。いつ目を付けられるか分からないからな」
「ありがとう…それじゃあね」
るかはそう行って帰りました。
それからしばらく歩いていると…
ポツ…。ポツ…。
「あら嫌だ雨だわ。どこかで雨宿りしなくちゃ」
るかは近くの軒下へ逃げ込みました。
「早く止まないかしら…」
しかし雨はさっきよりひどくなるばかりで
なかなか止みそうにもありません。
ふと向かいの橋の前を見ると
傘を差したあの人が座っていました。
その隣には知らない女がいました。
「………はぁ」
「大丈夫よ、そんなに落ち込まないで。お姉ちゃんの事だからあとでひょっこり帰ってくるよ」
「そうかな……?」
「あれ?かいとさんみくちゃんどうしたの?」
「あ。ぐみちゃん。」
「あ~分かった~。かいとさんまためいこさんと喧嘩したんだね。駄目だよめいこさん大事にしないと」
「そうなんだけど……実はお姉ちゃん昨日から帰って来てないの。知り合いの人や友達の人にも聞いたんだけど来てないって…」
「え!?そうなの!?うちには昼過ぎに兄さんが会ったって聞いたきりだけど…」
「…………そうか」
「だ、大丈夫だよかいとさん。心配しなくてもすぐに帰って来るよ。ね?」
「そうよ。だからそんなに落ち込まないで」
そんなやり取りを聞いていたるかは雨の中を走り出しました。
その晩、るかは店であの娘の事を考えていました。
「…あの人に寄り添っていた娘…とても長くて綺麗な髪をしていたわ…緑の菊柄の帯がとても似合っていて…あの人はそんな子が好みなのね…」
そんな事を一人呟くと…………
「『……だけど仕事は頑張らなきゃ』」
再びあの口癖を言ってから鋏を片手に帯の修繕を始めました。
その目は赤く孕んでいました。
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