朝焼けに浮かぶオレンジの雲を眺めながら
「そういえば生まれたことないな」って思った
覚えてないし知らないし見たこともないよ
ウソだと言われても信じてしまうくらいには

疑ってかかるほどのことでもないたくさんの
通り過ぎた出来事も出会っていく物事も
私のことなんか知らずに流れていくんだろう
紅を差しては徐々に白んでいく雲のように

虹の根本にたどり着くことより
虹の儚さを覚えていなさいって
誰かがお説教臭く言ってたな
その人もあの雲を見てるのかな


陽が高くなった頃の水平線は地平線は
「夜明けのことを覚えているんだろうか」なんて
雲の気持ちも知らないし話したこともないのにさ
誰が教えてくれるわけでもないのは知ってる

人生かけてまで知りたいこともないいっぱいの
目に映らない出来事も眠る間の物事も
私のことなんか気にせずに進んでいくんだろう
蒼に染まりてやや霞んでいく空のように

海の深さを広さを知る前に
海の顔を眺めていなさいって
誰かが知ったような言葉を綴ってた
その人の海にも虹はかかるのかな


誰かに刻み込むこともできないと言うと
「あんなに痛かったのに」って母さんが笑う
何処かに逃げることもできないと言うと
「あんなに連れてったのに」と父さんが拗ねる

私は知らないって言ってるじゃない
こんなに知らないのに誰かは知ってるんだ
こんなに知らないのに大切なことだったんだ
それで良いんならもうそれが一番楽だなって


誰も知らない押し入れに開けた小さな穴
誰も知らない隣のおうちの鉢のヒビ
誰も知らない公園のベンチの裏のごみ
誰も知らないジャングルジムについた血のあと

忘れてしまったら思い出せばいい
でも知らないことはずっと知らない
単純な話なんだけどおかしいね
どうしたって不器用なのに変わりないのに


あの時の私を覚えてるって聞いたらさ
どう答えてくれるのかな知りたいな
一瞬だけ頭の片隅に揺らいだ光が
でもすぐに燃え尽きるように消えてった

さっきまでそこにいたはずの
オレンジ色の雲みたいに

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オレンジ色の雲へ

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投稿日:2022/12/17 21:14:15

文字数:863文字

カテゴリ:歌詞

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