※警告という名の諸注意、やっちゃったよセルフパロ

・帯人×女性マスター(篠武)
・カイトは出てきません
・妄想による世界観、しかも本家よりダーク。
・オリキャラ満載(オリキャラは名前・設定ともにシャングリラと同じ・若干性格は変わっている場合もあり)
・帯人はアンドロイド・機械的な扱い、表現を含む
・女性マスターの一人称が『オレ』

※ここ大事※
 多分いないとは思いますが…万が一、本家シャングリラを少しでも気に入ってくださっている方がおりましたら、今すぐ全力で引き返してください!本家シャングリラとは一切関係ありません。悪いのは全面的に私ですorz

恐らくツッコミ処満載ですが、エンターテーメントとして軽く流して楽しんで頂けると幸いです

上記が許せる方は、自己責任で本編へどうぞ




☆☆☆☆☆☆☆



32.

SIED・MASATAKA


あれから約三週間…。

やっと受け入れ態勢が整って、これで帯人を施設へ移送することができる。

(設備や環境、システムメンテナンス用のデータを、一から作り直すのはかなり骨が折れる作業だったな、)

今回の騒動を一切伝えていなかった僕のチームのみんなは、所長の話を聞いてかなり動揺していたけど、最終的には理解してくれた。あくまでも、表面上は。

(でもきっと、納得はしてない。現物を見たら、多分みんな大なり小なり取り乱すに決まっている、)



帯人がアンドロイドだと、初めて気づいた時の僕みたいに。



だけど、僕たちは世界最高峰の技術者だ。

感情論は二の次にして、やるべきことはきっちりやらなくては。





「さ、ここが帯人の新しい『家』だよ、」

施設に着いて、主に生活の基盤にする為に改装した部屋へ案内する。
関係各所に囲まれたミーティングルームを改装し、最低限人が住めるようにした、一見簡易的なものだけど。
不安定で、どんな不具合を起こすかもわからないから、あらゆる想定外に対応できるよう二十四時間体制で監視。
常に四、五人のスタッフが別室に待機し、いかなる不測の事態にも備える。
細かな体調や行動はもちろん、様々な角度で張り巡らされたセンサーは、体内の各種回路から滲む電流や電磁波を捉え、その感情の起伏や変化も読み取りが可能という、アンドロイド管理にはもってこいの部屋に仕上げた。



「うーわー、オレだったら、絶対こんなとこ住みたくねーな…、」

…まぁ、確かに四方を壁代わりにガラスで囲まれているこの部屋は、正直落ち着かないとは思うけど。

「でも、ほら、タッチパネルで操作すれば、すりガラスになるよ、プライバシーも安心だね、」

「…体調は仕方ないとして、行動どころか心の奥底まで筒抜けにしといて、プライバシーも何もないだろうが、」

「今回基盤に採用した、人間の知能そのものをもたせた高度な精神回路搭載のAIが、これまでの環境に応じてどの程度成長しているかとか、詳細なデータをとらないといけないからね。しょうがないんだよ、」

そもそも、アンドロイドにプライバシーは必要ないところを、わざわざ配慮したのに。その前にどうして篠ちゃんが文句言うのさ。


さて、まずは頭の先から爪一枚に至るまで、入念にスキャンしてボディチェックを…って、あれ?



「…帯人、何処行ったの?」


確か、さっきまで篠ちゃんの後ろにいたのに…いつの間にか肝心の本人がいない。


「さー、知らね。あのさ、そろそろオレ帰ってもいい?」

篠ちゃんは興味なさそうに小さく伸びをすると、だるそうに肩を回した。




33.

SIED・KANA


「どう?私の研究施設は気に入ってくれたかしら?前にいたところよりも格段に待遇はよくなると思うけど、」

「………嫌い、」

通路を一人でふらふらと歩いていた帯人を見つけて話しかけると、鋭い視線とともに拒絶の言葉が返ってきた。

その瞳の奥には侮蔑と敵意が潜み、声の響きに冷ややかな嫌悪を乗せて吐き捨てる。


直接言葉を交わすのはこれが初めてだけど、そのあからさまに感情のこもった態度を見て、私は少なからず驚いた。



(凄いわ、思っていたよりもずっと反応がいい…、)

粗悪な欠陥品でも、中に使われている基盤は北澤君が作ったものをベースにしているからか、AIの成長具合が思ったよりも著しい。
これなら、彼の稼働データと合わせて新しく『VOCALOID・KAITO』の構築が可能かも知れない。

まずは詳しく解析して、どの程度使える領域が残っているかの確認からしなくては。


(でも、よほど上手くやらないと…あの事件の二の舞になってしまう恐れもある、)

自我が強く、人間に対して従順と言い切れない…むしろ、傷付けても構わない存在だと認識している節もある彼を、どうやって飼い馴らすか…。




「ねぇ、少しビジネスの話をしない?」

「………しない、」

「即答ね。でも、あなたにとって、これ以上ないくらい…いい取引きなんだけど、」

私が今からする提案、絶対に彼は拒んだりしない。

歩み寄る私を警戒する綺麗な紫の目を見ながら、つい先日行われた不愉快極まる会食を思い出していた。


有栖、あなたの大切な忘れ形見は、私が必ず守るから。




34.

SIED・SINOBU


(結局、勝手に帰ってきちゃったけど、)

数週間ぶりに戻った部屋の中は、当たり前だけど何も変わっていなかった。


ここだけは、何事もなくいつも通り…と、思いきや。



「……あ、」

しまった、まさかこんな長期で空けるとは思わなかったから…。



(冷蔵庫の中、マジでヤバくね!?)

食品の賞味期限…生野菜とか、果物とかも…多分、全滅だろうな。

オレはため息をついてキッチンへ向かい、犠牲となってしまった食べ物たちの整理を始めた。


無駄死にさせて、本当にごめんよ…。





(それにしても、)

せめて、帯人には挨拶して帰ってくればよかったかな。

いつの間にか姿が見えなくなってたから、まぁいいやって帰ってきたのは失敗だったかも。

(今頃、心配して探してたらどうしようかな…、また明日行けばいいかな?)

つらつらと考えながら掃除を終えると、新しく食品を買い足す為に部屋を出た。

ちょうど即席でできるレトルト物の在庫も失くなってたし、生鮮だけじゃなく冷凍食品も補充せねば。




(今日の晩飯は、カレーにしよ、)

そうと決まれば、あまり遅くならないうちに買い物を済ませよう。

マンションから徒歩五分の場所にある、行きつけのスーパーを目指して歩いていると。



(………ん、)



背後から音もなく近づいてきた黒塗りの車が、ゆっくりとオレの目の前に滑り込んできた。

思わず立ち止まった目の前で、車から降りてきた全身黒ずくめの男が話しかけてきた。



「木崎…篠武さん、ですね?」


「……………、」




【コマンド】

・たたかう
・まほう
・どうぐ
・にげる


この場合の選択肢、正しいのは一体どれなんだ?



続く

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

※亜種注意※Lost.Eden//叶わなかったシャングリラ【帯マス】第十二話

ちょっと長引きすぎな気が…。
多分、あと数話で終わるはず!

閲覧数:49

投稿日:2016/10/01 01:33:48

文字数:2,935文字

カテゴリ:小説

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