VOCALOIDは紫と青を贔屓 だけど黄色の双子も捨て難いのです そしてきっと結局は全てVOCALOIDは好きだと思うのです 創作はゆっくりまったり気まぐれマイペース 拙い作品でも楽しんで出来たら良い
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それは、いよいよ夏も盛りを迎え、連日続く暑さが何となく気怠さを齎していた、とある朝の事……。
平穏で代わり映えのしない日常は、呼び鈴の音と共に破られる事となったのだ。
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「――…すいませーん! お届け物ですよ。七篠さん、いらっしゃいますか?」
軽やかに玄関の扉が叩かれ、その向こうから聞こえる声...【KAITOの種】種と叔母と夏の朝の宅配便【蒔いてみた】
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馥郁たる甘い香りを振り撒く、黄金の果実。
土の痩せた防砂林の中、人の世話さえ受ける事も無く、それでも撓わに丸い実を結んだ、枇杷の木。
ピンポン球よりも小さな果実は、見た目こそ店に並ぶそれより劣るとしても。
枝から摘み取って口に運んでみれば、それは十分に甘く柔らかく瑞々しいと感じられる。
「……霙人、...【KAITOの種】種と枇杷とジャムの作り方【蒔いてみた】
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普段は閑静なばかりで、寂れかけた感のある街も、ただこの日ばかりは俄かに活気付いて見える。
ふわり、と。
開け放たれた窓から舞い込む風は、もう既に寒さを忘れて初夏へと移り行く季節の兆しと藤の香を微かに孕み、その温さが何となしに眠気を誘うが。
その一方では。
浮いた人々の騒めき、怒声にも似た掛け...【KAITOの種】種と祭と端午の節句【蒔いてみた】※修正版
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花の重みに耐え兼ねるかの如く、一際大きく枝を垂れた桜の下に、もともと置かれていた石のベンチも利用出来るようにして敷かれたシート。
座布団代わりに畳まれたタオルと、ぼんやり柔らかく手元を照らし出すランタン。
そして、シートの中央には既に蓋が開かれたクーラーボックス。
あくまでマイペースかつ合理...【KAITOの種】種と鏡音と夜桜宴会・後編【蒔いてみた】
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漆黒の夜空を背景に、ハラハラと仄白く桜の花びらが舞う。
羽織ったパーカーのフードに納まるエイトが身動いで、花びらを捕らえようとするように立ち上がり精一杯に身を乗り出しては、空に手を伸ばす。
「……きれい…」
ほぅっ、と小さく溜め息交じりに耳に届いた声は、まるで周囲の静寂に遠慮したように、秘や...【KAITOの種】種と鏡音と夜桜宴会・前編【蒔いてみた】
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いつも外出の時には使っている鞄に、財布と鍵とケータイも放り込むと、フードの付いたジャケットを羽織ってフードの中にエイトを収まらせる。
肩に乗せるよりは安定するだろうし、抱えて運ぶよりも楽だ。
通い慣れた道を普段より時間をかけて歩く。
「ますたぁ。どこに、いくの…です…か?」
『……んー…』
...続々・KAITOの種を蒔いてみた
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「……、たぁ……ますたぁ………」
……。
何だ、騒がしい。
「…ね、ぉきて……さぃ…ます、…ぁ……」
眠いんだ。
もう少し、ゆっくり寝かせてくれ。
「……も…あさ、なの…です……ますたぁ。はやく、おきて」
『……ぅう…う…?』
「…ますたぁ」...続・KAITOの種を蒔いてみた
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帰宅して、取るものも取り敢えず真っ直ぐに向かうはまず冷凍庫。
「KAITOの種」を埋めてから、一昼夜。
本来はアイスに埋めるべきものを少しばかりイレギュラーな苗床にしてしまったけれど、ともかくも発芽するなら発芽して良いだけの時間は経っているはずだ。
……朝、出掛けに覗いた時はまだ何の変化も見...KAITOの種を蒔いてみた
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目の前には、青と黄色という何とも目を引く色合いをした、植物の種のようなもの。
宛名の無い封筒にメモ程度の簡単な説明書を添えて送られてきたこれを、果たして、私はどうすべきか。
何しろ宛先も不明なら送り主も不明。
受け取ってしまっても良いのか、少しばかり不安だが……我が家の郵便受けに入っていた以...KAITOの種を蒔いてみる