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今日は建国記念日により、街ではアイス祭りが開催されていた。
でも、そんな日だというのに、兄は部屋から出てこようとしない。
「お兄様、ミントアイスをお持ちしましたわ」
小さな不安を感じた私は、失礼だけれど返事もないのに部屋に入る。
すると、そこにはソファーの上で膝を抱えて暗い表情をしている兄の姿が。
...悪ノ物語 23
君僕
☆*゜・。
「さあ、早く。何をぐずぐずしているのよ!早くその子を頂戴」
せかされて恐る恐る足を前と進める怜の背中にはつめたい汗が一筋、背筋をゆっくりと伝い落ちていった。
一歩ずつ前に出ると、相手がじれったいと言う様に歯軋りを始めた。
「…芽衣子、いいか」
「ええ」...満月の夜に Ⅹ
リオン
☆*゜・。
内容を理解した芽衣子は唐突な展開に脳がついていかず、理解した内容を何度も繰り返しては流騎に確認を取っていた。
「…わかったわ、大体のことは。それで?これから、どうしたらいいの?」
「めー姉は…というか、めー姉達はやられ役。芽衣斗さん達は簡単に近づけるだろ...満月の夜に Ⅷ
リオン
☆*゜・。
来緒が部屋の中へ入っていってしまったのを見ていた三人は、顔を見合わせて小さな声で話し出した。
「…どうする?」
「どうするも何も…来緒が案内してくれるみたいだし、行かないの?」
「ですが、この洋館が地図で示された場所ならば、彼も敵の一人かも知れません...満月の夜に Ⅶ
リオン
☆*゜・。
あらかたの説明を終えると、来緒は満足げにソファの上にあったクッションを抱きかかえてあくびをした。
「…どう?協力…してくれる」
「…。…はい。協力しないと危ないみたいですし…。いいですよ」
「よっしゃあ!!」
嬉しそうに立ち上がってガッツポーズをとる来緒...満月の夜に Ⅵ
リオン
☆*゜・。
桁外れのスピードを出して、海翔が走る。屋根から屋根へ、屋根から電柱へ、電柱から今度は木々の枝へと飛び移り、学園へと急いだ。学園の校舎が見え始めるとさらに足を速め、行儀などお構いなしに部室の窓を見つけると開きっぱなしの窓から中へと飛び込んだ。しかし、その...満月の夜に Ⅴ
リオン
☆*゜・。
学校では今日も天文部のミーティングが開かれていた。
とは言っても、話し合おうことなんて殆どなく、結局は今度の文化祭のときに使う押し付けられた装飾品の制作をしているのだが。文化祭はまだ先の一ヵ月後だというのに、こういうものを作るのが専門であるはずの美術...満月の夜に Ⅳ
リオン
☆*゜・。
家というよりかは洋館といったほうがしっくりくるような造りと、二階へと続く螺旋階段。色とりどりの食器や青々とした木々が生い茂る、庭――いや、庭園といったほうが正しいのだろうか。中世ローマなどを思わせる洋館の中に住んでいたのは、所謂“お年頃”の男女だった...満月の夜に Ⅲ
リオン
カイメイです。該当CPが苦手な方はご注意下さい。
後、台詞のみです。
「ねえ、MEIKOさん」
「何よ?」
「僕がMEIKOさんの為に恋の歌歌ったら、MEIKOさん、嬉しい?」
「はいぃ?! ちょっ、突然何っ」
「んっと、マスターが作る歌って、恋の歌が多いでしょ?」
「…ああ、まあ、ねえ」
「色々歌...恋の歌を歌おう
西の風
ピチャン…。
涼しげだがすこし不気味にも聞こえる水音は、薄暗い小さな洞窟に反響しては消えていった。
先ほどから目は覚めていた。しかしいくら鈍いメイコといえども流石にこの状況を理解できないわけがなく、それどころか頭のいいメイコは男たちが近くから去ったときに、素早く逃げ出そうとまだ気を失ったふりを...カイメイ&カイカイカイ… 7(ラスト)
リオン
ふと、誰か聞き覚えのない声で目を覚ました。
いつも寝起きの悪いメイコは、明らかに不機嫌な顔をして頭を引っかきながら、上半身を起こした。そうして、やる気のなさげなどこかぬけた声で、自分を起こした声へ、問いかけた。
「人違いじゃないですか」
ただしくは、問いではないのだが、メイコとしてはこれを問い...カイメイ&カイカイカイ… 6
リオン
青い空、白い雲、それから一番大事な、
「青い海ー!!」
うれしそうにはしゃぎながらカイトは海の家でアイスを買おうと、財布を準備し始めていた。
キカイトは重い荷物を車とバイクからおろして、広く敷物を敷いて休憩所を陣取り、そこにどんどんお菓子やらジュースやら浮き輪やらを置いて着々と完璧な休憩所に近...カイメイ&カイカイカイ… 5
リオン
さて、まあアイスの存在価値が随分と下がってしまったわけだが、それよりメイコはメイトが心配なようで、一度玄関へ出てメイトに声をかけていたが、カイトはどうもソレが気に入らないらしく、先ほどから少しご機嫌斜めである。
「カイト兄ちゃん、あそぼうよ」
「えっ?何?」
よほど恐ろしい顔をしていたのだろう、...カイメイ&カイカイカイ… 4
リオン
青や赤、黄色や緑に黒。まったくもって色鮮やかな集団である。
「ごめんなさい、めいさん。めいくん、また酔っ払って…」
「全然いいのよ!カイコちゃんのせいじゃないものね。…ってカイト!」
「何、めいちゃん。あ、アイス食べる?」
「少しはおとなしく遠慮しなさいよ。それ、何個目?」
…九個目。そういおう...カイメイ&カイカイカイ… 3
リオン
息もできない時間が数分にわたって続く。少しだけ長い髪を後ろへなびかせてカイトは目に涙を称えてこの世のものとは思えない恐ろしげな悲鳴を上げ続けた。
「いやぁぁぁぁぁああああああああ!!」
「カイト、うるさいわね。落とすわよ。…つかまっていて!飛ばすわよー!」
「ひぃぃぃぃいいいいいいい!!たすけてー...カイメイ&カイカイカイ… 2
リオン
朝というものはいつ何時でも穏やかなものだ。
大都会の中心でさえ、あの喧騒を取り戻すのは昼に近い。
まして、人々が日々生活を営むこの高級住宅は平和という言葉が相応しい。
爽やかな風が全身をすり抜けるように空間を流れ、
顔を覗かせて間もない太陽の日差しが眩しく、
聞こえるのは、かすかな生活音...I for sing and you 最終話「I for sing and you」
FOX2
「テレビ出演まで、もう一週間か・・・・・・。」
「明日から、ピアプロのテレビスタジオのほうに行くんだよね?」
「ああ。そこで色々と練習だ。」
そんな風にお喋りをしながら、あたし達は冬の夕日で茜色に照らされた道路を歩いている。
寒い・・・・・・。
肌で感じる寒いという感覚を味わう、それ...I for sing and you 第十七話「団欒」
FOX2
朝だ。
あたしは、とうとうピアプロに行くことを昨日の夜、決意した。
やっと自分を見つめなおすことができたんだ。
あたしにも、何かできることがある。じっといてはいられない。
何かを、始めないと。
そして、確かめないと。
大丈夫。あたしには・・・・・・。
「ネル。」
雑音がいる。
「...I for sing and you 第十話「再臨」
FOX2
「マスター・・・・・・ネルいつ帰って来るんだよ。」
リビングのソファーに座って新聞を広げていると、ふとそんな問いかけが耳に入る。
声の方を見やると、赤い髪の青年が元気のない表情で立っていた。
「心配するなアカイト。今は少し辛い状態だが、落ち着いたところを見計らって連れ戻しに行くさ。」
「見...I for sing and you 第五話「嘘と本音」
FOX2
何一つ不自由ない生活
かしずく使用人達を相手に
誰が訪れることのないこの箱庭が
私の全て
孤独すら
私は知らない
想うことも
私は知ることがない
私が知るのはただ
人が決して見ることのない惨劇...箱庭の少女
銀狐
「廻子おねえちゃんも、歌うって!!」
音を立てて、扉が開かれて、楽歩よりも、先に、鈴の声が、響き渡った。鈴の斜め後ろには、廻子が、どこか、ためらいつつも、何か、決意したような顔で、佇んでいた。
「ありがとう。鈴。だが、もう、上限の月だ。お前たちの用を聞こう」
楽歩は、そんな二人を見て、微笑んで、...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十六
和沙
「お前たちと、歌舞を興じるのは、本当に、楽しいな。この一瞬、一瞬が、私の論理を証明してくれている気がする」
ひとしきり、歌い続けた頃、楽歩が、頷きながら、口を開いた。
「楽歩の論理って?」
「それって……あれか? 確か、音楽を極めることこそが、文武を両立させる、一番の近道とかっての……?」
蓮は...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十五
和沙
「廻子お姉ちゃん。忙しいんだね」
廻子の出て行った扉を、淋しそうに、見やりながら、鈴が呟いた。
「だから、楽歩も、一人で、歌を作らないといけないのかぁ……つ……ねぇ。他には、何をしているの?」
鈴が、慌てたように、言い直した。きっと、“つまらないねぇ”と言いそうになったのだろう。蓮は、ちらりと、...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十ニ
和沙
「よく来たな。私が、音楽を追及する男、神威楽歩だ」
足音すらも、重々しく響く、長い廊下を、しばらく歩いて、やっと、辿り着いた、やはり、美しいけれど、厳(いかめ)しくて、奇妙な扉の向こうの広い居室(いむろ)で、椅子に腰掛け、彼らを待ち構えていた男が、そう言った。
「はじめまして。私は、鈴」
「俺は、...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十一
和沙
「鈴!! 大丈夫か!?」
背後から、鈴を狙おうとした魔物を、剣でなぎ払って、蓮は叫んだ。
「ありがとう! 大丈夫!!」
鈴が、舞いながら、扇で、風を操って、数匹の魔物を払いのけた。
「それにしても、何なんだよ、こいつらは」
「うん。話が通じなくて、哀しいね」
夥(おびただ)しい数の、それこそ、...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 二十
和沙
朝餉(あさげ)の席へと、足早に歩む蓮は、ふと、足を止めて、ため息をついた。
海渡が、白いひげを蓄えた、上官なのだろう、男に、何やら、言われている。叱責でも、受けているのだろう。もっとも、叱責とは名ばかりの、言いがかりなのだが。
蓮は、小さく息を付くと、男のもとに、歩み寄った。
「海斗は、神子直...双子の月鏡 ~蓮の夢~ 四
和沙