<戦国慕歌路絵巻 風雲!鏡音伝 第3話 両軍出発!>

(蜜儀の間)

レンは天叢雲剣の刃先を消し、柄を右腰の腰ひもに引っかけてから、リンと一緒に座った。

家康:さて、次は作戦会議となるわけだ。言わずもがな、現状の最大の敵は“信長”だ。当然、信長のいる“安土城”を攻めればいい事になるのだが、残念ながらそう話は簡単ではない。
リン:え?、だって、安土城って、滋賀け・・・近江(おうみ)の国にあるんでしょ?。ここから陸路を使って進軍すれば、移動に時間はかかるけど、攻め込めるんじゃないの?。
ミク:それは、あなた達の世界での状況ミク。こっちの世界では、ちょーーっと、問題があるミクよ。
学歩:“ちょっと“ではないでござる。”かなり“だ。
升太:なにせ、“攻め込む城”が、地に着いてないからな。
レン:・・・・え?。
ミキ:“宙に浮いている”んです。つまり、“天空城“、って事ね。
メイコ:一般兵は言わずもがなだが、我々ですら、いくら“陰陽術”を使えても、空を自由に飛ぶ術はないのだ。
レン:でっかい鳥とかに乗っかって攻め込むとか・・・。
海斗:それは君たちの世界ですら、“おとぎ話”で出てくるような術だろう。升太が先に述べた通り、陰陽術は生死以外なら何でもあり、という意味合いもあるが、それはあくまで“人間が出来ることの能力を高める”だけなのだ。
升太:例えば、俺の“拳”に陰陽術を使うことで出来ることは“強力な打撃を放つ”事だ。拳を下に向けて放ち、空を飛ぶ事はいくら何でもできない。“人の重さ”を放り投げるような打撃はできないのだ。同じように、いくら巨大な鳥だとしても、人間が乗って飛べるような能力は根本的にない。

家康:ということで、空から城内に攻め込むことができない以上、他の策を使うしかないのだ。しかし、現状で、空路以外からの侵入は考えられない。
リン:え!、じゃあ、ダメじゃないですか!。
家康:そこで、ここの家来達に、いろいろ調べさせたのだ。すると、いくつかの有力な情報を入手できた。
メイコ:これから、調べて入手できた情報を教えるから、そこから先が、ここでの“作戦会議”だと思ってね。
リン、レン:はい。

メイコ:まず、あの安土城は、自力で浮いているわけではない事がわかったの。
ルカ:私の“霊力分析”の結果、あの城自身に、自分の巨大な体躯を浮かせられる程の霊力も装置もなかったの。それと浮かせる事で生じる周囲への影響もほとんどなかったから、自分で浮いているのではなく、外部からの“陰陽術”か“カラクリ”で浮いているはずだ、そういう結論に達したの。まだ“浮かしている装置”は見つかってないけどね。
ミク:陰陽術だと霊力放出があるから、おそらく“高度のカラクリ”が使われていると、ミクは考えているミク。

レン:なるほど、敵本陣は空だが、浮いているんじゃなくて、“何かで浮かして貰っている”わけなんだ。
リン:つまり、“浮かしている何か”、を突き止めて、壊したり、停止すれば、敵陣は着地して、陸路で侵入可能、って事ね。
家康:うむ。そして“浮かしている存在”も、おおかた目星がついている。普通の陰陽師の能力では不可能に近いので、そういう将軍や地区を全て切っていった結果、信長以外で残ったのは・・・・。
リン:死んでいるはずなのにまだ生きている、“魔太閤秀吉”、ですね。
家康:そうだ。ルカの霊力分析から考えても、ヤツとヤツの根城である“伏見城”しか考えられん!。そして伏見城は、運がいいことに“地上”にある。つまり、伏見城に攻め込んで調べればいいことになる。

レン:あれ?、そこまで解っているんだったら、なんで兵を率いて、京都・・・・・・えーっと、山城国に攻め込まないんですか?。城は地上にあるんだし・・・・。

学歩:それが出来ないから、そなた達とそなた達が使えると考えていた“三種の神器”に頼る事にしたのでござる。
リン:?。
家康:城門にたどり着くことすら出来ない。ここの家来達の霊力を持ってしても、最後の門番達を切り捨てる事ができんのだ。

学歩:私の霊力を使った剣術“霊光剣”ですら、彼らを切り裂くことが出来ないのでござる。
海斗:同じく、我ら“忍”の刃物も同様だ。
升太:俺の拳、ミキのアホ毛、テトの死神の鎌、いずれも傷一つ与えられなかった。
テト:( ̄个 ̄)
ミク:私達の霊力攻撃も受け付けないミク。つまり、ここの全員が、“奴ら”を倒す事ができなかったミクよ。
ルカ:周りの“召還魔”は倒すことが出来るのに、それらを束ねているあの3人だけは、どうすることも出来なかったのよ。
家康:なぜだか解らないが、我らが兵を引いても、彼らは追撃することをしない。しかし、これ以上、一般兵を失うこともできず、ここの家来達を失うわけにもいかず、それで、今のような状態になっておるのだ。

ミク:それからミクが古文書や書物を使って、あの3人の事を調べたミク。当時の絵師の絵とかからの予測の範疇になるミクけど、とんでもないことが解ったミク。
ルカ:一人目の正体は、平安の時代に実在し、死亡したと書かれていた、“安倍晴明(アベノセイメイ)”。二人目も同じく、“芦屋道満(アシヤドウマン)”、いずれも強力な陰陽師です。
ミク:そして3人目は、召還されたのか、単体で生まれたのか解らないけど、魔物“仙狐(センコ)”、つまり“九尾の狐”の人間体だろうという結論に達したのです。

家康:またもや死んでいるはずの二人の陰陽師、そして強力な魔物、これでは拉致があかないので、ミクとルカに頼んで、そなた達を呼び寄せて貰ったのだ。
学歩:予想通り、三種の神器を使うことが出来たでござるから、これなら、ということで、ここから先が、これからやることを決める会議となるのでござる。

レン:まぁ、この剣で彼らを切り裂き、リンの霊力で破壊する事が出来れば、突破できるかも知れないけど、ってか、それしかやることないんじゃないの?。
リン:つまり、私たちを含めたここの人たちだけで、伏見城に攻め込むって事。

家康:そなた達さえ、了承してくれれば、路銀(旅のお金)等の準備をさせて、出発してもらおうと思っておる。
学歩:まぁ会議っていうより、“承認”をしてもらう場を設けることだったのでござるがな。

レン:そうでしょうね・・・。解ったよ、いずれにしても信長を倒さないとルカさんの霊力が戻らないから俺達も帰れないし、やるよ、それ。
リン:同じく、やります!。

家康:協力、感謝する。では、兵に伝えて、“移動手段”を用意させよう。路銀は学歩に渡しておく。だが、たいがいのことは、この印籠を見せれば、協力してくれるから、安心されよ。

そういうと家康は、どこかで見たことがある、あの“印籠“を取り出した。

リン:あー!、“これが目に入らぬか!”ってヤツだ!。

家康:?。ま、まぁ、相手が強情なら、そういう風に使う事もあるかもな。

リン:(そうか、まだアノおじいさんが活躍する時代じゃなかったわ)
レン:で、移動手段はなんなんですか?。

ミク:それは、あなた達の世界では生まれなかった動物ミク。見てのお楽しみミク。
ルカ:そうね、あれは私たちの自信作だからね。
リン、レン:???

家康:では、出陣じゃ!!!!。
家康以外、全員:御意!。
リン、レン:(つい、つられちゃった・・・)

こうして、そこの全員が退室し、家康は途中で指令を伝達し、城門まで移動したのだった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

戦国慕歌路絵巻 風雲!鏡音伝 第3話 両軍出発!

☆オリジナル作品第9弾である、「戦国慕歌路絵巻 風雲!鏡音伝」の第3話です。

☆徐々に敵の情報を公開していきます。

☆しかし今回は、ヒーローモノの話の時のような、ほのぼの旅行モノになってしまったよーな・・・。

☆味方の“テト”と、敵の“てと”、どうなっているのかは、お楽しみに!。

☆作中の“トリン”とは、トラボルタP様のリン曲“ソラトバズ”に出てくる、飛べない鳥の名前です。
ニコ動リンク:http://www.nicovideo.jp/watch/sm9293649

******

hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『causality』:http://piapro.jp/content/c0ylmw2ir06mbhc5

☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

☆あず×ゆず様が、第8作目の部室棟の死神案内娘“テト”を描いて下さいました!。本当に有り難うございます!。
『おいでませ!木之子大学・部室棟へ♪』:http://piapro.jp/content/rsmdr1c3rflgw7hf

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投稿日:2010/03/02 21:51:27

文字数:3,079文字

カテゴリ:小説

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  • nonta

    nonta

    ご意見・ご感想

    お久しぶりです。
    作品のほう、楽しく拝見させていただきました。
    今作もコスチュームに時代や舞台設定、登場人物で既にワクワクしてます。
    いや、もうこんな神器を装備してるのですからいくら魔物がこようがレンくんが勝てないわけがないですよねーと思ってたら…
    ヘリコプター!?
    相手側にヘリコプターがあるとなると他にもいろいろと装備している可能性もあるわけで、これはかなり苦戦が予想されますね。
    というか、ヘリ一機あるだけでもこの時代としては、偵察、移動、戦闘とあらゆる面で反則的なほどの軍事力ですよね。
    テトとてととの関係といい、これからの展開も楽しみにしてます。

    2010/02/03 20:46:58

    • enarin

      enarin

      nonta様、お久しぶりです♪

      > 楽しく拝見させていただきました

      0,1,2,3話+朗読劇1つで計5つ投稿しました。今回はなかなか設定とかストーリーとかを調べながら作っている関係で、投稿間隔が長かったりします。でも、コレくらいがちょうどいいのかも知れませんね。

      > 既にワクワクしてます

      有り難うございます!、凄く嬉しいです!。レンの巫女だったり、タイムスリップだったり、戦国時代だったり、陰陽術バリバリだったり、何故か現代兵器だったり、”レンの探偵社”以上にいろいろ詰め込んでます。ちなみに”現代兵器”だけは”伏線”だったりしており、その”伏線の先”にある”真実”の話を早く書きたくてウズウズしてます。でも、ちょっとまだ先なんです。

      > レンくんが勝てないわけがないですよねー

      神器がビームセーバーですからね。しかも話では敵側を斬ることが出来る唯一の武器とか。実はこの”斬る”というのも伏線だったりします。何故”戦国時代の武器では、霊力を使っても斬れないのか?”。

      > ヘリコプター!?

      はい、ヘリです。次の話で”どういうヘリ”なのかは書きます。なぜ戦国の陣営にヘリがあるのか?。しかもどうやら”めぐみ”なる親玉が用意したものらしい・・・。

      > 偵察、移動、戦闘とあらゆる面で反則的なほどの軍事力ですよね

      そうです。とりあえずネルハク”てと”のトリオの乗り物です。某タイムなアニメの3悪のメカみたいですね。でも、書かれている通り、この世界のめちゃくちゃな陰陽術を駆逐できる軍事力となります。当然、刀ではヘリの装甲を斬れませんし・・・。このヘリ、レーダーまで持っているみたいだし・・・。

      > テトとてと

      有り難うございます!。テトと”てと”のポイントは、”テトは人形に魂を入れたモノであり人間ではない”であることです。ネルがヘリを操縦できた事も含めて、ストーリー展開で明らかになっていきます?。

      このたびのご閲覧、コメント、有り難うございます!。

      2010/02/03 21:54:58

  • nai☆

    nai☆

    ご意見・ご感想

    なんと、敵は天空の“ふわふわキャッスル”にいるのですか!
    攻略が大変そう…、と思ったら、そんなギミックが! 相変わらず大掛かり且つ緻密な設定ですねぇ~。
    移動手段が「トリン」とな? 元ネタは知りませんが、フ○イナルフ○ンタジーのチ○コボみたいなものでしょうか。とか言いつつ、ニコ動のアドレスあったのでジャーンプ! あ、トラボルタさんのでしたか。可愛い系ですが、このお話の中だと脱力系ですねw

    で、敵の本拠地では例の3人組が! って! え!? ネルハクテト!? いいや、テトはひらがなの“てと”ですね。
    家康側のテトとどういう関わりになるのか気になります。
    で、こっちの移動手段はヘリコp…、いやいやいや! ちょっと待て~ぃwww なんでヘリコプター!?www

    で、とりあえずは、お約束の読者サービス『INNでのお風呂』シーンですね。
    個人的には、女装がバレないようにレンが女性陣とお風r・・・いえなんでもありません。
    すでに男だってバレてますし…ねw(チッ☆)

    ↓え? 怪我? 大丈夫ですかぁ><; どうぞお大事になさって下さい。

    2010/01/31 22:58:26

    • enarin

      enarin

      nai☆様、こんにちは!

      > キャッスル

      はい。しかも陰陽術でも大きな鳥に乗っても空を自由に飛ぶことは不可能。でもネル達は…

      > ギミック

      とりあえず浮遊装置があるらしい”秀吉城”を落とす事になりましたが、どうも門番が強いらしく…

      > トリン

      ”トリン”の名前はトラボルタP様自身が付けた名前ではないです。この文中では、人が乗れる大きさなので、少し大柄です。また曲ではゆっくり歩くんですが、ここでは陰陽術で速く走れます

      > 脱力系

      シュールですね。イメージはまさに”チョコ○”です。後ろに乗って白いリボンを掴んで走らせます

      > ネルハクテト

      久々の3人組ですね。でもテトは家康側。こっちのは”てと”。どちらも”顔文字会話”、さぁどういう関係なのでしょう…

      > ヘリコプター!?

      どうして秀吉、信長側は、現代以上の科学力を持っているのでしょうか?。それはシナリオに大きく関わってくることなんです?。しかもネルは操縦できた、信長城は浮かされている、めぐみという正体不明の司令官みたいな存在は、ほぼリアルタイムで家康側の事情を知っていた、はてさて?

      > 『INNでのお風呂』

      もう恒例になりましたね。自然に流れが浮かんでしまいます…。実はメイコさんのセリフは、最初はもっとHでしたが、さすがにヤバイと思ったので、マイルドな表現に変えました。それでもリンちゃんはわかったのか恥ずかしがりましたが…

      > (チッ☆)

      そうですね、残念ながら…。とはいえ次の宿は”混浴温泉”にするつもりです。酒の席でババーンと見せている”メイコさん”はともかく、さぁリンちゃんとレンくんは一緒に温泉に入れるのでしょうか?、ってなんか、これがメインになりかけているよーな…

      > ↓え? 怪我?

      はい。正月2日に、階段を降りているとき、残り3段目で足を滑らしてスッ転び、尾骨を折ってしまったのです。全治一ヶ月以上で、痛み止めをまだ飲んでます。骨はもうくっついたと思うんですが、筋肉で骨が引っ張られる”椅子に座る”行動をとると、痛い?。PC作業が出来なくて、原稿アップが遅れて?

      次回第4話もちょっと遅れます。すんませんです。当方の不注意です。でも、優しいお言葉、有り難うございます!

      ご閲覧、コメント、有り難うございます!

      2010/02/01 15:36:10

  • ayuu

    ayuu

    ご意見・ご感想

    こんばんは^^ayuuです♪
    拝見させていただきました~!!!
    メッセージ遅れてスミマセン><

    おおっ!信長城が空に浮かんでいるなんて予想外です!!!
    というより、空に浮かぶ城から某有名アニメ映画のラ●ュタを連想しちゃいましたw
    絶対侵略できなさそうですね…><
    テトが二人いる!?どういう関係なのか気になります!!

    次の展開も楽しみにしています☆
    ではでは~^^

    2010/01/30 18:02:11

    • enarin

      enarin

      ayuu様、今晩は♪

      > メッセージ遅れてスミマセン><

      ご閲覧有り難うございます!。例の怪我があったため、2話から結構時間が空いてしまって恐縮です。

      > 信長城

      当初の”時代劇設定”から随分ストーリーが飛脚してしまいましたが、ちょっとシナリオ的な理由があって、安土城には”浮いて貰いました”。その理由が”秀吉城”にあるようですが・・・。

      > 空に浮かぶ城から某有名アニメ映画

      これは意識しました。ただあの城ほど移動が自由で高いところを飛んでいるわけではないです。でも投げはしごとかで行ける高さでもないんです。やはり何とかして、”地上に降ろす”、事をしないとだめだったりします。

      > 絶対侵略できなさそうですね…><

      今回の話で出てきた、どうやら”親玉”と思われる”めぐみ”は正体不明ですが、生きている信長はこの世界を統べる力を持ってます。そして、何故かこの世界で出てくる”ヘリコプター”、これにも理由があったりします。

      > テトが二人いる!?どういう関係なのか気になります!!

      これにも理由ありです?♪。”テト”と”てと”、どちらも人形で、絵文字会話。さて、”テト”、とは何なのでしょうか?。

      このたびのご閲覧、コメント、有り難うございます!。

      2010/01/30 18:28:18

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