課題開始から1時間以上、少し日が落ちて来たがこれと言った問題も無く、『ブレイク』のコールも無い。忙しなく動くスタッフと書類と確認に追われて課題の現状は把握出来なかった。

「トカゲさん。」
「あれ?一人か?『アリエッタ』あいつはどうした?」
「もう…皆が『アリエッタ』って呼ぶ様になっちゃったんですけど…。」
「良いんじゃない?それで、何か報告?」
「はい、プレートを渡しに来ました。まだ『ブレイク』のコールが無いので自分の
 プレートをきっかけにしたいって。」
「はは、成程。」

と、ステージ裏から浬音とクラムが顔を出した。また意外な組み合わせだな。そう言えばさっきここに居るって放送されてたっけ。

「お二人共、話は聞いています。どうぞ、シャルロット様のプレートです。」
「良いんですか?」
「はい。このままでは課題も進みませんからね。」
「ああ、そうだ、丁度良かった、今から良いもん見れるよ。」
「そそ、マイクテスト。」

訝しげな顔の二人を脇に残しステージに上がる。ピアノじゃなくてシンセだけど少し懐かしい空気が甦った。

「スタンバイOK、サウンドチェック、フルスピーカーで開始します。」
「…え…?鳴兎…?!」

――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――

 激しく打ち付ける雨の中で 冷たく震える君の手を取った
 頬を伝うその雫は 雨粒なの?それとも涙?
 ねぇ、一人で泣いていたの? 泣き声を殺してまで

 君の心がここには無い事 知っては居たけど君を抱き締めた
 君の想いが私に無い事  判っては居たけど君を放せなかった

 許されるのなら どうか私を見て
 言葉じゃ足りない想い この腕にこめるから
 握り締めた手を 振り払わないで
 言葉じゃ足りない想い この歌にこめるから


 君の心がここには無い事 知っては居たけど抱き締めたかった
 君の想いが私に無い事  判っては居たけど放したくなかった

 許されるのなら 君を見つめさせて
 言葉じゃ足りない想い この腕にこめるから
 握り締めた手を 握り返してよ
 言葉じゃ足りない想い この歌にこめるから


 許されなくても どうか私を見て
 言葉じゃ足りない想い この歌にこめるから
 抱き締めた腕を 振り払わないで
 溢れ出し続ける想い 口付けにこめるから

――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――

「はい、チェックOKでーす!!」
「……………………………。」
「どうした~?鳴兎、真っ赤な顔して。ステージ映えする良い声だったよ~?」
「浬音が居るなら居るって言えよ…せめて他の曲選んだのに…。」
「良いねぇ~熱烈告白。」
「啓輔!」

ステージ脇を見遣るとこれまた輪をかけてゆでだこ悶絶状態の浬音が居た。そりゃあ施設内に響き渡る声でここまで甘いラブソングなんか歌われちゃ、ゆでだこにもなるだろう、ああ、面白かった…後で映像記録見よう。

「お前等…聞いてるこっちが恥ずかしい。マジ理解不能…。」
「…えいっ!」
「え?」
「シャルロット…それからリトルフラワー!ブレイク!」
「あああああああああああ!!!お前…!!何しやがる!!」
「一回目の課題の仕返しです。精々リトルフラワーさんに怒られて下さい。」
「マジで?!」

う~ん、血は争えないかも…?

「カーカカカカカカ!やーっと動いたか!『シャルロット』『リトルフラワー』
 ブレイク!『クラム』のプレートは奪取状態の為クラム様は戦線継続だ!そんじゃ、
 がーんばれよー!」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DollsGame-120.ジギタリス-

作詞協力有難う御座いました!書いてるこっちも恥ずかしい!w

閲覧数:122

投稿日:2010/09/16 10:19:17

文字数:1,527文字

カテゴリ:小説

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