「……遅い」

時刻は只今11時。
俺はあまりに痺れを切らして、そう零してしまった。
今日は俺たちの誕生日。
多分ミク姉やルカ姉やメイコ姐やバカイトも祝ってくれると思うけどそれはみんなの時間の都合上夜になる。

「そんなに待てないッ!!」
と朝っぱらから駄々をこねたのは、俺の双子の姉、リン。
みんなにお祝いされる前に二人でお祝いしようと言い出した。……まあたぶんケーキが食べたいだけだろうけど。

……と、いうわけで、今俺は絶賛留守番中。
でもケーキの買い出しに出かけたリンはかれこれ1時間帰ってこない。

さすがの俺も心配するから。
早く帰ってこいよ。

それから20分後。
さすがに遅すぎるから様子を見に外へ行こうとコートを取りに椅子から立ち上がった時だった。


「たっだいま―――!!!」


リンは何事もないかのように普通に帰ってきた。
俺の心配を返せ畜生。
結局ケーキ作るのは俺なんだからさもう。

「ごめんねーさびしかった? ちょっとレンは何ケーキが食べたいかなーって思ってたら時間たっちゃってー」

えへへ、と笑う。
……くそう、かわいい。

「……さぁ、さっそく作るよ。早く食べたいんだろ?」
「えへへ、さっすがレンくん! お見通しですなぁ」
「ほめても何も出ないから」
「ふふん、知ってるー!」

そっからよく覚えていない。

ただハンドミキサーがない我が家はスポンジ生地を作るのに、泡だて器でめちゃくちゃ腕に力が入らなくなるくらいまで混ぜたことは覚えていた。

――あと、一部始終を、手伝うこともしないリンが笑顔で見ていたことも覚えている。

全く。
朝っぱらから駄々こねて、買い出しに1時間20分もかけて、俺に心配かけて、ケーキも手伝わないで。
でも―――。

「んーっおいしい!!」

こんな笑顔が見れるなら、それもまたいいかな。って思う。

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君の笑顔 【イズミ草】

閲覧数:116

投稿日:2013/12/27 21:10:28

文字数:784文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • 雪りんご*イン率低下

    雪りんご*イン率低下

    ご意見・ご感想

    イズミ草さんの鏡音愛がびんびん伝わってきましたw
    イズミ草さんの書く鏡音は、リンちゃんは言わずもがな、レン君の彼女にひじょぉぉうに甘いところも、とても可愛いと思います!

    2013/12/29 17:09:54

    • イズミ草

      イズミ草

      わわあっありがとうございます!
      伝わりましたか―この溢れんばかり……いや溢れる鏡音愛が……!!
      いやぁうれしいですねww
      私は鏡音にひじょぉぉうに甘々ですww

      2013/12/29 19:58:21

  • しるる

    しるる

    その他

    きゃっはー
    リンちゃん、かわいいw
    しかし、これはレンくん視点だから、こう思えるのであろうなw

    こういう何でもないの、そして、なにも進まないの
    私の得意分野にして、好きな分野w

    2013/12/28 12:42:20

    • イズミ草

      イズミ草

      鏡音ですから!!
      鏡音は何しても何もしてなくてもかわいいですから!!www
      リンちゃんマジ天使ぅぉぉぉぉおおおおおお!!!!!!!!(少し黙れよ

      2013/12/29 19:55:47

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