「リン、僕と一緒にこの街から出よう。」
始まりは僕の言葉だった。
「どうして?私はこのままでも…」
「みんな、僕たちを分かってくれないんだ。だから」
―一緒に、ここから飛び立とう―
「ヴーッヴーッ」
「ねぇ、出なくていいの?」
「いいんだ。」
誰が何と言おうと、僕たちは一緒なんだ。
双子なんかじゃないんだ。
僕たちは、恋人なんだ。
「ここが東京だよ、リン。」
見慣れない景色に戸惑っているリン。
「なんか、騒がしいね。」
「…そうだね。」
リンは、何か寂しそうにしている。
そうだ、リンは最初から乗り気ではなかった。
リンは…あの街が大好きなんだ。
「最初からリンなんか好きにならなきゃ良かった。そしたら」
そしたら、みんなと笑い合えてたのに。
嘘。
リンを好きになって良かったんだ。
リンは哀しそうに笑った。
どうせ、バレてるんだろう。
「ヴーッヴーッ」
また電話。
電話が切れてから、留守電があることに気付いた。
その留守電は
『レン、頑張れ!!』
『失敗したら承知しないわよ!!』
『応援してますよ!!』
みんな、僕たちを分かってくれなかったわけじゃなかったんだ。
僕の勘違いだったんだ。
都会の冷たいアスファルトに黒く涙を落とした。
「リン、帰ろう。」
「え?」
「僕たちは、やっぱりあの街が大好きなんだよ。」
「っうん!!」
僕の大好きな、リンの満開の笑顔だった。
「ただいま…」
「おい!!何だよ、もう帰ってきたのか?」
「うん。」
「何だかんだいってもこの街が好きなのよね、二人とも。」
「僕たちのこと認めてくれたの…?」
「当たり前です!」
産まれも育ちも、姿も形も、男も女もばらばら。
でも、僕たちは仲間で。
僕の大好きなリンも笑っていて。
なんてバカなことをしたんだろう。
僕の場所は、こんなにも近くにあった。
「レン!!外に出てみない?」
「ねぇ、レンはみんなのこと、どう思う?」
「…大切な仲間だと思ってるよ。」
「そっか。」
「あ、訂正しておくよ。」
「何が?」
「リンを好きになって良かった。」
「…うん!!私も良かったよ!」
空には大輪の火の華が咲いていた。
fin.
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Thank you for supporting me...Introduction
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檸檬飴
ご意見・ご感想
書いてくれたんだね!
ありがとう(*^^*)
みんなイイコ!!
感動だよ!!
その文才に嫉妬(>_<)
2011/07/10 10:31:37