第九話前篇 ―安楽浄土厄払い―
「も、ぜんッぜん見つかんないよぉ……」
「手がかり全く掴めませんね…」
「私の妹も元の名前は分かるけど、今はどんな名前で呼ばれているのか分からないわ……」
ミクがお茶を一気飲みする。
今、お茶屋で休憩をしている。
「ここのお茶屋さんはお庭にこだわってるんだって!」
「どういうふうに?」
リンの話にレンが問いかける。
「季節感を出すために季節を連想させる花とかを植えてるんだって!メニューとかお皿もそう言われてみると、そんな感じするよね」
「確かに!今4月だから紫陽花なのか!」
「うんうん。ハルちゃんはその紫陽花をはるかに上回る美しさだ……!」
((でた―――――!!))
「か、カイトさんもう食べ終わったんですか」
「あぁ。ハルちゃんに見とれていたら、すぐ食べ終わってしまった。味わって食べないとな……。あ、そういうう意味じゃないからな!?ハルちゃんをって意味じゃないk」
「「はいはい」」
双子そろってスルー。
「ルカさん」
「なあに?ミクちゃん」
「ルカさんの妹さんって元々なんて名前だったんですか?」
「あぁ、その話ね。百合(ユリ)よ。漢字は花のユリと同じ」
ルカは空中に書いてみせた。
「へえ。かわいい名前ですね!」
「まあ、ハルちゃんほどじゃないけd…[ゴンッッ!!]
「ちょっとカイト、どれだけハルを苦笑いさせたら気が済むのよ」
「痛てて…。めーちゃん、灰もかかったんだけど」
「うっさい。あんたがハルにしたことに比べたら灰がかかるなんてメじゃないわよ」
「俺はそんなに変なことしてないぞ」
「Luidruchtig.Kinky.」
「ルカ…。翻訳すると何になるんだ…?」
「うるさい。変態。です☆」
「俺は変態じゃない!!」
(((((いや、変態だろ…。)))))
「さて、行きましょうか」
メイコが立ち上がった。
「そうですね」
続いてルカとハルも立ち上がる。
「えー。もっとここでだらだらしたいー」
「俺もー」
双子が寝転がってごねる。
「じゃあ、行くところを決めればいいのよ。今日は息抜きしよう!レン君、地図貸して」
「はい」
レンがミクに地図を手渡す。
「うーん…。この辺り大して行くところないね…。神社ぐらいかな」
「そこって大きい?」
リンが寝たまま質問する。
「結構大きいかな」
レンが体を起こす。
「そこでいいんじゃね?ついでに早くハルさんの家族とルカさんの妹さん見つかるようにお願いしてこればいいじゃん。おい、リン起きろ」
「んー…」
7人はお茶屋を出た。もちろん支払いは桜花国の上級大将の財布から支払った。
その神社はお茶屋から500メートルほどの距離にあった。
「思ったより大きーい!」
「ちょっとリンちゃん!?」
リンが一気に元気になり、そのままレンを強引に引きずって走っていってしまった。
「元気ですね…。リンちゃん。レン君が明らかに巻き添え食らっていますけど」
「ふふ。ハルさん、昔からあんな感じなんだよ。あの二人」
ミクはいつになく優しい目をしている。
彼女は血こそ繋がっていないが、彼らの『お姉ちゃん』なのだ。
「御神籤がありますけど…。引いてみます?」
ルカが看板を指差す。
「今日全然人いないしね…。引いてみよっか!」
5人は受付へ向かった。
「ようこそお越しくださいました」
薄い桃色の髪の特徴的な髪形の女性が立っていた。
「すみません、御神籤を引きたいのですが」
「かしこまりました。少々お待ちくださいね」
女性は会釈をすると奥へ入っていった。
「あの女の人、美人ですね!」
「ハルちゃんほどじゃn…[ゴンッッ!!]
「おい、何回目だ。いい加減にしたらどうなの?」
「いやああぁぁぁ!!」
「「「「「!?」」」」」
「今の何!?」
「さっきの女の人じゃありませんか!?」
「中に入るべきなんでしょうか!?」
「多分!でもどうやって入るかな…」
「よじ登ればいいのよ」
言い終わる前にメイコはすでによじ登っている。
「よっと」
カイトもそれに続く。
「さあ、ハルちゃん、この僕のt…「ト―――オゥ!!」
ミクのとび蹴りを顔面に受けたカイトは、ハルの手を受け取ることなく倒れた。
「あ、えーと。ありがとうございます。ミクちゃん」
「いやいや、この変態から守ってあげないと、ハルさんがもたないよ!はい」
手を差し伸べる。
「ありがと…っう」
ハルもミクの手を借り、登った。
「って、あれ?ルカさん?」
「こっちに戸があったんで」
((((あったのかよ…))))
そんなことより、さっきの悲鳴だ。
急がなくては。
5人は奥へ入っていく(1人は引きずられて)
「あ!」
「あ…」
さっきの女性がこちらを見上げる。
女性が見ていた先にリンを姫様だっこしたレンが立っていた。
その周りに赤い水たまりがいくつか出来ている。
抱いているリンは傷だらけである。
「レン君?何があったの…?」
「…リン、階段から派手に落ちてさ……。俺、手が届かなくてさ。リンの腕をつかんでやれなかった……」
そう言うと俯いてしまった。涙が頬を伝い、リンの顔に落ちる。
「れ、レン君泣かないで!その…」
ミクはかける言葉に困った。
どう慰めてやるべきか。
ハルはレンに近づいていき、しゃがんだ。
「レン君。リンちゃんに対するその思いだけでも立派よ。そうそう人のためには泣けないわ」
「ハルさん……」
「あ…あの……。どうしましょうその子…」
「右目のところが切れてるんですよ。ここを止血させてください。何か薄めの布あったかな…」
レンがカバンの中をあさる。
ハンカチで軽く右目をおさえる。
「近くにタダでやってくれる病院あったかしら…」
「とにかく運ぼう」
カイトがレンからリンを受け取ろうとする。
「ん…」
リンが目をうっすらと開けた。
「レン…。ありがと…。レンのあの手嬉しかったよ。ゴメンね…」
「こっちこそ、ゴメン…」
リンは傷だらけの体を無理やり起こし、レンの顔に近づき…
キスをした。
「…!?」
次回に続きます。
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やっぱり将校殿は鍛え方が違うでござるな!ww
2012/06/04 19:38:44
june
リンちゃん、めっさ小さいことなのに大きいことにしてみましたw
将校殿はメイコさんからの(ryで慣れてますから☆
見た目は将校でも中身は変態ナンパ野郎なんでwww
2012/06/07 17:55:43