第九話後編 ―安楽浄土厄払い―


頬をさする。

顔が熱い。

姉にしてもらっただけなのに、何か変な感じがする。

こう…、ドキドキするというかなんというか……。

熱いものが心から噴き出している。


さっきからミク姉がにやにやしながらこっちを見てくる。

「何?」

と聞いても

「べっつに~?(ニヤニヤ)」

と言うだけだ。

正直、ミク姉の反応よりもハルさんはどう感じているのだろうか。
なぜハルさんの反応が気になる理由は分からないが、気になって仕方がない。

今、衣亜(IA/イア)の知り合いが経営している神社の近くにある旅館の中にいる。


「……」

「よし、取りあえずこれでいいと思う」
「ありがと~、由香里(ゆかり)がいなかったらどうなっちゃうことかと思ったよ~」
「すみません…僕は?」
「あ、飛胡(ピコ)君もだよ!ありがと!」

「すみません。ありがとうございました」

メイコが代表して頭を下げる。

「いえいえ。泊まってくださる訳ですから…。これぐらいしないと。」

ゆかりがリンを背負う。

「こちらへどうぞ」

ピコが案内をする。

「あら、広いお部屋!」
「めーちゃんが喜ぶなんて珍しいね」
「たまには私だってはしゃぐわよ」
「なんだか新鮮な感じがしますよ?」
「そう言うハルもミクと同い年なのに、全然はしゃいだり騒いだりってことがないわよね」
「そうですか?」
「えぇ。反応が大人っぽいわ」
「そういうエレガントなところが僕としてm…[ゴンッッ!]

ピコが手早く布団を敷く。
そこにゆかりがリンを寝かせる。

「ありがとうございました。わざわざ…」

ミクが布団の近くに座る。

「そういえば…」
「どうしたの?レン君」
「ハルさんとルカさんの妹さんのこと聞いてみようよ」
「そうだね!すみません」
「「はい」」
「あの…、こちらの女の子ってどこかで見たことありますか?」
「「いえ…」」
「ルカさんちょっと来て」
「どうしたの?」
「妹さんってどんな人か分かる?」
「名前は多分氷山ね。髪の毛は黄色で、私と同じぐらいの長さだけどストレートで…、絵を描いた方が分かりやすいかしら」
「お願いします」

さらさらと紙に絵を描いていく。

「こんな感じかしら」
「ルカさん、絵うまーい!」
「ありがと。ミクちゃん」
「ああッ!!」
「見たことありますか!?」
「うちの宿に来たことありますよ!姉さんにやたらベタベタしてきた人ですよ!」
「……あの子、数年見ないうちに大変なことになってない?」
「どこから来たかとか言っていましたか?」

ミクがピコに迫る。

「えぇ、聞きましたから」
「お客様との会話としてと、何処から来るお客様が多いか調べるたm…」
「ルカさんの妹さんはどこから来たんですか?」

ゆかりが最後まで言い切っていないのにも関わらず、ミクは次の質問をした。

「し…、調べてきます」

ピコが出ていった。



「ん…」

リンがうっすらと目を開けた。

「リン!?」
「痛た…。あれ?どこだここ」
「あ、えと、じ、神社の近くのや、宿屋さんだよ」
「どうしたの?レン。気分でも悪いの?」
「あら。レン君大丈夫?」

ハルがレンのおでこに手をあてた。
すると、気にレンの顔が真っ赤になった。

そこでミクは確信した。

――あぁ、レン君はハルさんのことが…

「熱はないみたいね。良かった」

ハルがにっこりと笑った。

「なんて美s…[ゴンッッ!!]
「カイト、レンのためにも黙ってなさい」

メイコが唇に人差し指をあてる。


「調べてきました。氷山様は上野からのお越しですね」
「やっと大きな手掛かりがつかめたね!」

ミクがルカの手をとる。

「えぇ」

ルカもそれに笑顔で返す。

「そうと分かれば、早速にでも行きたいところだけど、今日は時間的に無理ね。どちみち泊まらないといけないし」
「そうね。元気そうだったみたいだし、明日からでも問題ないわ」

ルカは妹の消息がつかめる大きな手掛かりを見つけたので安心したようだ。

「とにかく今日は休みましょう。明日は早起きしないとね」

「「「「「「はーい」」」」」」

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・

なかなか寝付けない。

ずっとリンとハルのことが気になって仕方がないのだ。

ちなみに布団は一番端で、隣はリンが寝ている。
何となくリンの後頭部に話しかけてみる。

「リン?」
「…なぁに?」

リンがこちらを向く。

「リンも寝てなかったんだね」
「うん。それよりもゴメンね?今日…」
「いいんだけど…。リンさ、今日俺にしたこと覚えてないの?」
「えーと…。何かしたっけ?」

――覚えていないんだ。

「い、いや…。その……。リンが俺にキスしたことも覚えてないのかなーって」
「え!うそ!?そ、そんなことしたの!?」

リンは向こう側を向いてしまった。

「やっぱり覚えてなかったのか」
「あ、あたし…。何でそんなことを……」
(どうしよう…!自分の気持ちが…。レンを異性として好きだってことが…。ばれちゃうよ……!!)
「さ、さぁな。もう寝ようぜ!メイコさん、明日早起きしようってはりきってたし」
「そう…だね!お、おやすみ。レン」
「おやすみ」




気になるところがちらほら見られたが、俺は眠りについた。







次回に続きます。










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  • 非営利目的に限ります
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千本桜 ~脱走姫様~  第九話後編

第九話、滅茶苦茶長いな。
自分で書いていてそう思ってしまいました;


うーん…。

やっぱりキスをした場所は『頬』でしたね…w




ルカさんの妹の件ですが……

ww

閲覧数:451

投稿日:2012/06/13 17:55:44

文字数:2,273文字

カテゴリ:小説

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  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    なんかレン君が忙しい回ww

    そして、ミクがにやにやしてるのがよくわかる回ww

    カイトの色恋沙汰は成就しない予感しかしない感じが全開なのもこの回ww

    2012/06/24 02:06:37

    • june

      june

      レン君は忙しい人ですw

      ミクはニヤニヤものが好きな人ですw

      カイトは残念な人ですwww

      2012/06/25 17:55:21

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