-紅と藍-
 無理やりリンをたたき起こし、レンがリビングへ降りてくると、既に荷物は出来上がっていて、メイコ・ルカ・リンとレンの分で、大きなバッグ二つと小さ目のバック二つにまとまっていた。そんな荷物を軽々と持ち上げ、玄関のほうまで運ぶ役目を、メイトがきっちりとこなしていた。
 みなさんお待ちかねと言った表情でリンが降りてくるのをまっていて、メイコなんかは今にもビールの缶を開けてしまいそうである。と、いうのも、メイコは暇になるとすぐにビールを開けるのだ。もうアルコール中毒どころの話ではない。
 見た目がメイコに似ている所為か、メイトも同じようにビールに手を伸ばそうとしているように見えてしまう。
「もう、リン、遅かったじゃないのよ?皆待ってるんだから、早く着替えなさい!」
「はぁい。ちょっとまってぇ」
 寝起きだからか、言葉に切れがない。
 のそのそと着替えを持ち出すと部屋に鍵をかけ、いっちょ前にチークだのマスカラだの、化粧をして出てくると、やっとリンが『お出かけモード』になった印である。それを確認すると、メイコは荷物を一つ、レンに渡して残りを全てメイトに渡すと、自分は少しのお土産と化粧ポーチを持ち、にこっと微笑んだ。
「行くわよ」
「…これ、何、入ってンだろ」
 そう呟いたレンに、そっとリンが耳打ちをする。
「男の子にはわからないものが入ってるんだよ」
「…なんだよ、それ」
「夢とか、希望とか?」
 一つ一つを思い出すように指を一本ずつ折り曲げながらリンはそう言って、それから可愛らしく微笑んだ。
「はぁ?」
 訳がわからないというように言うレンに、リンが笑った。オレンジ色のチークが、まるでひまわりの花びらのようだった。

「――こっちだ。もう少しだから、がんばれよ」
 メイトがそういう頃には、レンは既にバテてへとへとになっていた。
 隣町といっても隣町自体がそこまで栄えておらず、しかも中心街から少し離れた辺りにある教会ともなれば、舗装されていない道も多々あり、普通にこの距離を歩くよりも絶対にこちらの方が疲れるだろう、とレンには自信があった。
 確かに、少しいくと見えてきた白い建物の黒い三角屋根には小さなクロスがみえ、結婚式場ほど豪華でないにしろ、真っ白な壁は塗り替えられた直後だろう。
「あ、あそこだ。…ホラ、カイコもまってるぜ?頑張れ、頑張れよ!」
「うるせー」
 明らかにレンよりも多くの荷物を持っているメイトは息切れもせずに、余裕といった表情である。しかし、レンにはそれが気に入らない。先ほどから励まされるごとに小さな声で悪態をつきつつ、歩いているのである。
「私も、カイコちゃん本人に会うのは初めてね。メイトからの手紙の話題にあったけど、随分可愛い子らしいし、メイトなんかとつりあうか、心配だわ」
 そういって、メイコが笑った。あわせるようにルカも少しだけ微笑んだ。
 よく見ると、教会の入り口のあたりで藍っぽい服装のなにかがこちらへと大きく手を振っているのが見え、近づいていくごとにそれははっきりとして、少し幼げな女性であることがわかった。ある程度こちらが近づいていくと、今度はあちらが近づいてきてメイトに飛びつくと、にっこりと微笑んだ。
 少し恥ずかしそうにメイトは紹介する。
「コイツが、カイコで…」
「めー君のフィアンセです!」
 青いショートヘアーに水色のリボン、碧いワンピース姿の彼女はさながら水の精霊といった風貌である。くりっとした大きく丸い目と、ほんのり桃色の色づいた頬が特に愛らしさを引き立てている。
「とりあえず、中にはいろう。…話はそれからだ」
「うん、そうだね。荷物、持とうか?」
「いや、大丈夫だから、気にすんな。大して重くもねぇ」
 そういうと、カイコは少し不満そうにして見せ、メイトに寄り添うように歩き出した。
 教会の中はキレイなステンドグラスの光が差し込み、とても美しい光が磨き上げられた床に反射し、またピカピカと光った。そんな空間は神秘的な雰囲気であった。
 そんな光景にリンが見とれていると、全員がぞろぞろとメイトに指示されて荷物を移動させ始めたから、少しあわててそれをおいかけた。何となく、忘れられたのか、という風に寂しさが沸いてきた。
「改めて、紹介しなきゃいけないよな。こいつはカイコだ」
「カイコです。よろしくお願いします!」
 可愛らしい声で、カイコが挨拶をした。それをみて、メイトが体の向きを変え、メイコの方を手で示す。
「で、こっちはメイコ。俺の幼馴染だ」
「よろしくね、カイコちゃん。…こっちの髪が長いのは、私の使い魔のルカ」
「よろしくお願いいたします」
 そういってるかがぺこりと頭を下げた。
「これがわたしの娘のリン。その隣りがリンの使い魔のレンよ」
「よろしくね!」
「…よろしく」
 思い思いの挨拶を終えてから、しばらく時間が流れ、カイコが言った。
「めー君、本題に入ったほうがいいんじゃない?」
「え、あ、ああ。お前から話せよ」
「わかった。実は、私たち、結婚することになったんです。それで、結婚式はここで静かにやろうと思うんですが、二人だけというのも…」
「…人数あわせ?」
「ぶっちゃければな」
「ぶっちゃけちゃダメでしょう」
 そうつっこまれ、メイトは少し落ち込んだようにした。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

鏡の悪魔Ⅳ 4

こんばんは、リオンです。
何か調査報告ですが、謎のミエコさんが出現してます(笑
と、いうのも、私がタグをつけているうちに間違えてMEIKOをMIEKOと
打っていた奴がいくつかあったようです…。
暇な方がいらっしゃいましたら、直しておいてください(笑
それでは、また明日!

閲覧数:453

投稿日:2009/11/05 23:02:05

文字数:2,208文字

カテゴリ:小説

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  • リオン

    リオン

    ご意見・ご感想

    こんばんは、Ж周Жさん♪
    …。「w」と「;」が多いですよ(これ以外返す言葉が思いつかなかったんです)。

    ミエコさんって亜種…。UTAUで作っちゃいましょうか。
    っていうかむしろ作ってください(他力本願)

    リンもレンも低血圧だと良いと思います。
    あ、大丈夫です。私も末期ですから♪
    わたしはただの妄想です!胸を張っていえますよ?(←危ない人)

    もう手で触れたくないんでしょうね。
    足なら靴を履いているし、冬ならスパイクがついていたりするものがあるので…。
    レンはいろんな人に守られてますね。レオンは応援する人と嫌がる人がいますね…。

    メイカイですかね?
    きっと子供が生まれたら色は紫ですよ。…あ、がくぽ。
    ダメイトはちょっとしゅんとして毎回慰められていたら良いと思います!!
    カイコはきっと優しいから叱ったりできないですよ。どっちかって言うと、デレデレ?

    今日の投稿ももうすぐやりますんで、待っていて下さい!

    2009/11/06 23:03:13

  • リオン

    リオン

    ご意見・ご感想

    こんばんは、返事が遅れました、スイマセン!

    みずさん、そんなに笑わないでください…(汗)
    謎のミエコさん…面白かったから出しちゃおうかな。
    …あ、ボカロじゃないからピアプロさんから怒られるか…。(悶々…)
    もう数えてないです。多かったんで。
    面白かったから、もう引きずらないでください(泣)

    今回と前回は不真面目な状態から真面目な方向に方向修正する回だったんですよ。
    だから、超がつくほど平和です。
    …レオンさんは送っておきますね(笑
    あ、後ろでレンが凄い喜んでる…。やっぱりやめようかな。
    メイトはダメイトであってこそのメイトですよね!
    あ、私の影響受けちゃダメですよ!カイトフラグ立っちゃいますよ!卑怯フラグも立っちゃいますよ!

    …「せれでは」になってますよ(笑)それでは、今日の投稿も見てやってください!

    華流さん、始めまして!
    な、夏休み前から…。全然気づかなかった…(当たり前)。
    面白いですか?ありがとうございます!
    鏡の悪魔はコメントくれる人の殆どが面白いといってくれているので、毎回嬉しいです!

    …そうですね、毎回ブクマしたら量が半端じゃなくなりますね(汗
    あ、問題なんてありませんよ!何が問題なんですか!?
    では、これからの投稿も見てやってくれるとスライディング土下座張りに喜びます!

    2009/11/06 18:49:30

  • 華流

    華流

    ご意見・ご感想

    はじめまして!!
    実はここに入る前・・・夏休み前からこっそり読ませてもらっていたのですがコメするタイミングを失ってました。
    リオンさんの小説とてもおもしろくて毎回楽しみに見ています!!!
    とくに鏡の悪魔が大好きだったので復活してくれてとてもうれしいです♪

    ・・・で、とっても勝手なことですが毎回ブクマはできないので
    ユーザーブクマさせていただきます。
    (問題があるようだったら言ってください・・・)
    これからも楽しみにしています!!

    2009/11/06 18:30:20

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