sleeping on 7th delta について色々補足
楽曲:http://piapro.jp/t/h232
動画:http://www.nicovideo.jp/watch/sm21286113


7th delta は少女が創った「理想的社会構造」の1つにつけた名前です。


舞台となっているのは地球ではない惑星で、だいぶ未来あるいは、
パラレルワールド的などこか別の世界のお話でしょう。
この時代の人間は、地球以外の様々な惑星に散らばっていて、
正確な調査が行われてはいませんが、既に地球に生物はいないと言われています。
もはや、正確な調査が行われないほどに、地球は人類にとって用無しの惑星です。

舞台となる惑星は他の星との交流が一切ありません。
高度な技術を持っていて、また、資源も豊富にあるため交流の必要がありません。
無線送電の技術を持っていて、いくつかの恒星近くにソーラー発電を設置しエネルギーを得ています。
そのため基本的にエネルギー問題は解決しています。
惑星内の日照は人工太陽によって制御されています。月はありません。
この惑星はひとつの国によって治められていますが、
他国との国交も無いため国という概念はだいぶあいまいです。


この国では高度な技術力を活かしてより良い社会を作ろうという動きがあります。

そのひとつが "The Prophets system" です。
が、あまり重要でないので割愛。

もうひとつが "Project Selene" です。
"Project Selene"(セレーネ計画)は良い社会を作るための国の取り組みですが、
秘密裏に行われているため、一部の人しか知りません。
計画の概要は
「仮想空間で理想的な社会を作り、そこで生じた
『より良い社会を作るのにプラスに働くと思われる事象』を現実世界に応用させる」
といったものです。

全ての物、生物がコンピュータの演算で作られている仮想空間に
一人だけ実際の人が入り、その人が空間内で理想的社会を作ります。(マトリックス的なね)
仮想空間に入っている人は現実世界では冬眠のような状態にあり、
脳は活動をしていますが、老化はしません。
仮想空間では時間の流れが早く、現実世界での一年ほどの間に、人の一生程度の時間が経ちます。
ただし、体感時間には変化はありません。(精神と時の部屋的なね)
Project Selene で実際に仮想空間に入る人はおよそ20名で、
経済学者、社会学者などその道の専門家が多数参加しています。
(※それぞれの被験者がそれぞれの世界を創っています。)
この計画に参加した唯一の未成年の少女が主人公で sleeping on 7th delta を歌っている少女です。

"Selene" は舞台となる惑星で「月」を意味する単語です。
前述の通りこの惑星は月を持ちません。
ただ、元々は地球にいた人類が散らばった多くの惑星のうちのひとつなので、
地球についての知識も多少あり(学校で習います)、月も知ってはいます。
知っているけれど、自分たちの住む惑星には存在しない月に対して、
憧れがあり、"Selene" は楽園のような場所だ といったある種の言い伝えがあります。
そのためこの星で "Selene" と言う単語は「月」という意味ですが、
現代社会での理想郷を指す「ユートピア」「シャングリラ」「エルドラド」・・・
と同じような使われ方もします。

また "Selene" にはうさぎが住んでいると言われていて(月うさぎと呼ばれる)、
人々に幸福をもたらすという言い伝えがあります。(幸せの青い鳥的なね)

※ セレーネ計画においては仮想空間のことをセレーネと呼びます。


少女の目的はセレーネ内で理想的な社会構造を構築することです。
最初のうちは何となく世界を作っていましたが、なかなか思うように行かず、
理想的な社会とは何であるかを考えます。
少女は「理想的な社会」=「平和な社会」としました。
従って少女の目的はセレーネ内で平和な社会を作り上げることです。

セレーネで世界を作るにあたりまずはその世界の法律や
どんな役職の人間がどのくらいいるかなど、世界のルールを構築します。
ルールはかなり細く設定できますが、基本的には現行法、現実世界を参照してくれるので、
特に変更の必要がない項目は自動設定にしておきます。
あまりにも現実離れした設定は現実世界に応用できないので不可能です。(重力の変更など)

被験者はセレーネで様々なルールを創り、実際にその世界で生活し寿命を迎え、
その経験を元にルールを改良し、また新たな生活を繰り返します。
(基本的に架空世界での死と現実世界での死は結びつきません。
 被験者はセレーネ内で幾度となく人の一生を繰り返します。)

少女も様々なルールを創り、何百回と人の一生を繰り返しながらも
なかなか自分の思う「平和な社会」は築けませんでした。
「平和ってなんだろう?何を持って平和と言えるんだろう?」
「平和な社会」が分からなくなった少女は「平和でない社会」を考えます。

「平和でない世界では平和でないことに対して様々な不平や不満があるだろう。
 そして人々は不平不満に対してもっとこうなって欲しいという望みや願いを持つだろう。
 その望みや願いの全てが叶った世界はきっと平和だろう。」
と彼女は考えました。
そして「全ての望み・願いが叶った世界」≒「平和な社会」として少女は世界を創り続けます。

しかしやはり思うようには行きません。
「様々な望み・願いがある世界 = 平和でない世界」が正しいとしたら
「平和な世界 = 誰も何も望まず願わない世界」もまた正しいです。
少女は「誰もが何も望まず願わない世界」はなんとなく寂しく、
きっと自分が創ろうとしている世界はどこかが間違っているだろうと思いつつも、
どこが間違っているかはわからず、世界を創り続けることしかできませんでした。


何千何万と世界を作り、何千何万と人生を繰り返し続け、行き詰まった彼女は、
ある日、神を創造できることに気付きます。
世界のルールを作る際に「自分に『理想的社会』とは何であるかを伝える役職を持つ人物」を
1人だけ設定できたのです。
少女はその役職を「アンサー」と名付け「アンサー」となる人物には世界と同じ名前をつけました。

少女は自分の作り上げた全ての仮想世界に名前をつけています。
例えば「無宗教」のルールを持った世界には "zeta" という名前を付けて管理しています。
この世界における「アンサー」は "zeta" です。
"zeta" シリーズの最初の世界が 1st zeta 、以降 2nd zeta、 3rd zeta と続きます。
"zeta" シリーズは最終的に自然発生した宗教が絡んだ大規模な戦争が起き、
彼女は "zeta" シリーズを放棄しました。 "zeta" にも会えていません。

"delta" シリーズも彼女が作った理想的社会のひとつであり、最大の失敗作です。
4th delta の時点で大きな戦争が起き、人類のみならずほとんどの動植物が死んでしまいました。
環境にも大きなダメージを与え、全生物が死滅するのも時間の問題となります。
理想的な社会を目指して作った世界のはずなのに、あまりにも悲惨な結果に終わったため
彼女はひどく落ち込みました。
この時点で少女は一度 "delta" シリーズを放棄し、
以降、また新たな世界を何千何万と作り続けます。
しかし、どんなに新たな世界を創ろうとも 4th delta で見た悲惨な光景が
頭から離れることはありませんでした。
そして少女は、自分の作った世界で死んでしまう人々、生物を見届けるため
もう一度 "delta" シリーズを開発し、5th deltaへと向かいました。
案の定 5th delta で全生物が死滅し、そして 6th delta ではただただ荒廃した世界が続いていました。

予想どうりの結果とはいえ、6th delta の光景に少女は落胆しました。
しかし、同時にひとつの疑問が生じます。
それは「生物の住めない死の星の末路はどういったものだろう?」というものです。
そこで彼女は 6th delta から途方もない時間の経過した 7th delta を創ります。
(1st〜6th delta は時間的に連続した世界ですが、
7th deltaは同じ時間軸にありながらも途方もなく未来です。)

どんなに時が経とうとも、6th delta と同じ荒廃した世界が続くだけで、
あとは星の寿命がくるのを待つだけだろうと少女は予想していました。
しかし7th deltaで彼女が見た光景は予想に反し、新たな生態系が築かれ、
見たこともない動植物が織り成す美しい世界が広がっているのでした。



見たことのない美しい世界に驚きと感動を隠せない少女、それでも旅は終わりません。
少女はこの世界で delta に出会い「理想的な社会」の答えを知り、
そして長い夢から覚めるのでしょうか?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

sleeping on 7th delta について色々補足

楽曲「sleeping on 7th delta」についての補足
楽曲:http://piapro.jp/t/h232
動画:http://www.nicovideo.jp/watch/sm21286113

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投稿日:2015/02/20 22:26:37

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カテゴリ:その他

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