第五章

いつもの様に不快感で起きた私は「期待」していたのか、自分でも未だに分からないのだが、
ぼんやりと携帯の電源を入れた。
私の精一杯の「勇気」は無駄だったようだった。
返事等来る筈もなかったからな、なんて自分を慰めるかのように呟きなんだかとてつもない「疲労感」が
身体を襲い、また眠りへと落ちて行った。
随分と疲れていたのか、食事も採らず長い事寝ていた様だった。
朝方に起きたのが、7時頃。それからまた眠りに付いて、起きたのは14時を回ろうとしていた。
何もしないで家に居る事に嫌な顔をするパートナーを知っていたからか、私は出来るだけの事を
パパっとこなしていた。「これさえしておけば」嫌な顔もされない事だけをした。
そんな日常にも「疲労感」や「嫌気」にも繋がる日々だ。
今日は散々寝てしまったし、きっとこれから襲ってくる「孤独感」は長いのだろうと私は思っていた。
パートナーが帰宅をして、食事を採っている様子が音で伺えた。
私は「一応」1階へと降り、「おかえり」だけを伝える日々。
とっくに見飽きてしまっている携帯ばかり見ながらの食事の風景が目に留まる。
見たくもない風景がそこには広がっていた。
私はなるべくパートナーとは食事を採らない様にしていた。
「私がストレス」なのがどんな会話をしていても、パートナーの表情には滲み出ていたからだ。
そんな表情で分かる様な人と食事を一緒に採りたいと思う人間は少ないだろう。
ほぼ、いないのではないか?なんて思う事も暫しある。
私は眠り過ぎてしまった事を少しばかり後悔しつつも一緒に寝るのもなんだか気が進まず、
自室に籠り独り考え事をしながら煙草を吸う。
パートナーは今日という一日の全てを終えて、眠りに付く様子だった。
「おやすみ」そんな事を伝え眠りに付くパートナーをよそに私は、寒空の中へと身を置く。
冷たい空気に触れ、白くなってしまっていた息を見て、なんんだかホッとした。
煙草に火を点け、夜空を眺める。
只、そこにあるのは私の呼吸と、暗闇の中で優しく光る月や星だけだった。
そんな時間がやけに安心感を与える。
「独り」の時間を楽しめる様になりたいな、なんて思ってみてもどこかしらで「寂しい」気持ちは倍増し、
いつか破裂する。
考える事はたった一つの事。「おかえり」「おやすみ」だけの会話の日常で私は幸せだと言えるのだろうか。
考えても考えても分からない「答え」に私はインスタへと逃げる事にした。
なんとなく雰囲気が素敵だな、と思う人にいいねを押す。
そんなに多くはないいいねに反応してくれる人がいる筈もなかった。
その夜中は何かが違っていた。
私が素敵な雰囲気だな、と思いいいねを押した人がフォローをしてくれたのである。
私の考えの中だけなのだが、私はフォロワーを増やしたいとも思っていなかった。
「拗らせた人間不信」は一般の人をフォローする事さえ出来ない。
だからせめて、お礼といつでもフォローは外して貰っても良いと伝える事で精一杯だったのだ。
私をフォローしてくれた人へと「勇気」を出し、dmを送る。
「感謝」と、「謝罪」を込めて。
返事が返ってこなくても良いと思っていた頃、真夜中の0時過ぎ。
諦めて寝ようと思ったその瞬間、彼は私のdmを受け入れてくれ、フォローを外す気はないと言ってくれた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

月は嗤い、雨は鳴く

孤独感に苛まれ続け、インスタへと逃げ道を探す主人公。

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投稿日:2024/03/18 03:48:05

文字数:1,390文字

カテゴリ:小説

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