「お前らは、人間失格だ。」
そう、告げられた時。
何故か僕は、笑っていた。
20XX年、12月24日。
ホワイトクリスマス。誰しもが笑い、過ごすはずの日。
僕らの家は、真っ赤だった。
横たわる2人の男女。
それを見つめる2人の子供。
1人は、おびえていた。
「レン、レンっ-------------!!」
僕は、温かい双子の姉を、ただ抱きしめていた。
「大丈夫。僕らはみつからない。さあ、行こう。」
双子の姉、リンを抱きしめ、ナイフを麻袋に隠し、僕らは家を出た。
神様。
僕らは、両親を殺してしまいました。
路地裏で、僕らは身を寄せ合った。
寒い。
「ありったけのコインは持ってきた。3日は宿に泊まれる。今日は近くの宿に泊まろう。」
リンは凍える自らの身を、抱きしめるようにうずくまっている。
僕は、リンの手を引き、おぶった。
体が冷えきっている。
「ねえ、レン、もし見つかったら、私たち、死刑なの?」
リンが震える声で僕に問う。
「リンは何もしてないし・・・。」
僕は、ふと思った。
リンを、置いてくればよかったかもしれない。
一緒に逃げている以上、僕と同罪になってしまうのだ。
「死刑ではないよ。」
明るい声で、笑顔で。僕は嘘をついた。
本当?と、リンは胸をなでおろした。
神様。
僕は大切な人に、嘘をつきました。
比較的安い宿に泊まることにした。
まだ両親は見つかっていないらしく、僕らはチェックインすることができた。
久しぶりに、まともに食べた気がする。
いや、久しぶりに、まともに食べた。
「おなか、すいた。」
リンが弱々しくつぶやいた。
目の前には、両親がいた。僕らに見向きもしない。
「おかあ、さん。」
リンは母の服の袖をつかんだ、その時。
「気持ち悪い!」
母はそう言い、リンを突き飛ばした。
鈍い音がする。
リンは、泣きながらむせている。
僕は見ていられず、リンを部屋に連れていくしかなかった。
いやな記憶。
そういう物こそ、鮮明に残るもので。
リンは、焼き立てのパンにがっついている。
「レン、おいしい、おいしいね!!」
そんな彼女は、とても微笑ましい。
これからは、おいしい物、たくさん食べられるよ。
僕はリンにそういった。
しかし。
部屋に戻った時、絶望が待っていた。
「今日9時半ごろ、XX県XX市の民家で、二人の男女の遺体が発見され----。」
僕は、立ち尽くすしかなかった。
ああ。
僕は、完全に警察を侮っていた。
「その子供は失踪しており、犯人が誘拐したと想定。しかし、子供が虐待を受けていたことがわかり、警察は子供が殺害した、ともみています。」
リンは、ぽろぽろと大粒の涙をこぼしている。
「レン、レン・・・。」
僕はまた、リンを抱きしめてこういった。
「大丈夫。」
宿は、真っ赤に染まっていた。
その中心には、もう後に引けなくなった双子の姿・・・。
それは、彼らが人間ではなくなるまで、続くことになる・・・・・。
つづく
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