あるところに、しんでれら(♂)がいました。
「レン、ちゃんとやってるの?」
「もちろんだよ、お母様。」
「ならいいのです。」
ったく、いつまでこんなことやればいいんだよ…
我が儘な継母と、義理の姉妹2人。
「俺が男だからってコキ遣いやがって…」
「何かいいました?」
「いえ、何でも。」
ふぅ…面倒な家族だ。
「え?舞踏会?」
「そうですわ。だから留守番頼みますわね。」
やっと自由になれるぜ。
つか、舞踏会とかお前らその顔で行けんのかよ(笑)
「どうかいたしましたか?」
「いえ、楽しんできてくださいね。」
「その間にこの家、ピカピカにしていってくださいね。」
うげ。
「分かりました。」
暇ないじゃん。
「ここを全部綺麗にしろと?やってらんねーなー」
こういうときさ、可愛い妖精が来てさ、『手伝いましょうか。』とか言ってくれんじゃねー…
「レン君、私があなたを救いましょう。」
「……は?」
「私は魔法使いです。」
「胡散くさ。」
「な!?ごほんっ、私はあなたのこんな日々から救ってあげましょう!!」
「え、マジ?」
「マジです。」
「何するの?」
「魔法を掛けましょう!!」
「何の?」
「ここから逃げ出すための魔法です!!」
「やっぱ胡散くさ。」
「いやいや!!幸せは保証しますから!!」
「ホントか?」
「ホントです。」
「じゃあその魔法早く掛けてよ。遊びたい。」
「行きますよ!!アブラカタブラ~」
大丈夫か、ホントに。
魔法を掛けたらあらま不思議。
メチャクチャかっけぇじゃん。俺ってこんなイケメンだったのな。
「さぁ、魔法が解けない内に!!」
「は?魔法解けんの?」
「当たり前じゃないですか。魔法ですよ?」
いや、意味分かんないし。
「夜中の0時になったら魔法は溶けてしまいます。それまでには戻ってきてくださいね。」
あと5時間…
「じゃ、またな、胡散臭い魔法使い。」
「胡散臭くありませんよ!!」
まぁ何にせよ、自由になれた。
「あのっ!!」
…可愛い女の子…
「ハンカチを落としてしまって…ちょっと、その足元の…」
思わず見とれちゃったな。
「これ?」
「ありがとうございます。あの…お礼させて頂けませんか?」
「いや、いいんですよ、お礼なんか。大したことじゃないし。」
「いいえ、大したことです。私とお食事するの…嫌ですか?」
「レン様…というのですか…」
「様付けなんて止めてください。俺偉くも何にもないんで。えっと、そちらは?」
「あ、リンと申します。」
「よろしくお願いします、リンさん。」
それから俺らは意気投合し、長らく話していた。
「そう言えばリンさん、今日は舞踏会では?」
「私は遠慮したんです。王子様と結婚なんて望んでいませんし。」
「そうなんですか…。」
「あ…もうそろそろ0時ですね。話過ぎちゃいました。」
「0時…すいません、俺、用事を思い出しました!!ではまた!!」
「えっ…さ、さよなら!!」
リンさんかぁ、可愛いかったなぁ~
「レン!!全然掃除がなってないじゃないの!!」
あの魔法使い…掃除くらいやっておけよ。
「すいません、寝ていました。具合が悪くて…」
「じゃあ今からしなさい。」
鬼ババァが。
「はい。」
「レンさん!!」
「きゅっ、急に何なんです!?」
「あのっ、レンさんいらっしゃいますか?」
「レン?」
「あ…リンさん…」
「レンさん、私、あなたを婿として迎え入れたいのです!!」
「…は?」
「な、なんですって!?むむむ婿!?」
「私、あの時以来、あなたのことを忘れられないのです。」
「……」
「私の家に来るのであれば、幸せをお約束致します。」
「だっ、ダメに決まっているでしょう!?レンは私の息子なのよ!?」
「コキ使われている、と耳に致しました。あとはレンさん、あなたが決めてください。」
「…俺も好きです。こんな俺でいいなら。」
「もう知りません!!」
「バーカ。」
ずっと言いたかった、我が儘な継母たちに歯向かいたかった。
それを叶えてくれた。
「レンさん、私の家、行きましょう。」
「はい!!」
こうしてしんでれらは幸せに暮らしましたとさ。
お仕舞い。
コメント2
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魔熊
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レン君口悪いww
シンデレラの逆って、新鮮だよ。
文才を下さい!!
レン君をずっと探していたリンちゃんが健気で可愛い(*^^*)
2011/05/23 23:29:32
檸檬飴
ご意見・ご感想
なんかリンちゃん男前ww
レン君の口調カッコいい(*^^*)
魔法使いって誰だったの?
禀菟は文才ありまくりでしょ!!
2011/05/23 23:29:19