第二章  

私は昔を思い出して「戻りたいな」なんて思った事が1度たりともない。
過去の恋愛で沢山の「否定、怒声、拒絶、性の捌け口」。
そんな事を思い出しながら、昨日来ていたdmに目を通してみる事にした。
返事があったという事は「話はしたいのだろう」と、考え直したのだ。
人は話してみないと分からない、とそう思い直したのだ。
dmの返事には、「そんな意味じゃないよ、ごめんごめん」と来ていた。
私は何故なのか、怒りすら覚えてしまい、インスタを閉じた。
それならばどういう意味だったのか、明確な説明が欲しかった。
その日は1日ずっとイライラしていたのを覚えている。
考えに考え、その夜中に「どう返したら正解なのか分からなかったです。」と返事をし、
眠ってみる事にしたのだが、なかなか寝付けずにいた。
パートナーが隣のベットに入ったのが分かった瞬間に、私は起き煙草を吸う事にした。
落ち着こうと思い、香水を纏い深呼吸をする。
深く深く香水の香りを感じる様に、ゆっくりと数回深呼吸をした後に、煙草へと気持ちを切り替える。
季節は冬、外は数日に渡り降り積もった雪で真っ白だった。
私は厚着をして寒い所へと出るのをとても好んだ。
煙草を咥えたまま、外へと出る。
寒さの中での息の白さと、煙草の煙の白さの入り混じる私の呼吸を見つめ、
落ち着こう、そんな気持ちで一杯だった。
酷く孤独感を感じたが、その日はインスタを見てみようとは思わなかった。
インスタには「暇」だから、「眠れないから」という理由で性への欲求で塗れている世界だった。
その「世界」が私には理解出来ず、散々貰ったdmでも惰性的に性への欲求を満たしたいだけのものが多かった。
呆れ果てる程の「性の堕落」。
真っ白の世界の中での呼吸だけが私を癒す。
夜空を見上げ、沢山の星が夜空一面に広がっていた。
「あぁ」そう呟いて私はこの夜の世界だけで幸せなのかもしれない、そう感じた。
美しい景色、夜景、好きな場所。
誰とも話せなくても良いんじゃないのか、なんて嘯いた綺麗事に陥りそうになっていた。
人は独りじゃ生きてなんかいけないのに、強がりとも思える様な思考だ。
白銀の世界の中、独りまた孤独感を感じつつ私は歪んだ考えを持ったままの状態で
寝てみよう、そう思う事しか出来ずにいた。
家の中へと入り、冷え切ってしまった身体を温めようと白湯を入れる。
温まる迄の間煙草を吸い続けていた。
少しづつ温まって来た身体に安心感を覚え、ベッドへと向かう。
今日は眠れる事を祈って、私はベッドへと潜り込んだ。
小一時間程、眠る事は出来なかった時に、またdmが来ていたが、見る気になれず
私は寝る事だけに集中する事にした。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

月は嗤い、雨は鳴く

堕落的に性へのdmが多い中で、インスタをしてしまう主人公。
なんだか嫌な返事を貰っていた。

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投稿日:2024/03/09 09:28:32

文字数:1,133文字

カテゴリ:小説

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