暖かいオレンジ色に染まった太陽が隣を歩く僕を包み込んだころ
誰にも君を奪われないように手を繋がなきゃと焦るのだけれど
どうやっても僕の右手はジーンズをギュッと握りしめたままで
その手を放そうとはしない。
君との距離を縮めようにも僕の体はそれを拒むように前にだけ進むばかりで
いつまでたっていても距離を測りかねている。
少し休憩しよっか
と言いだしたのは君で、僕はそれに従うしかなかった。
そこはまだ子供たちや親や高校生が辺りをうろついている公園で
君と二人きりにはなれないことに悔やんだ。
まだ明かりの着いていない街灯の下
落ち葉が舞う
そこに少し古いベンチ
砂を払いながら先に君は腰をかけた。
はい、どうぞ
そう言って無邪気に笑いながら視線を僕に移した。
その後辺りが暗くなるまで君と話した
街灯がいつのまにか着いていたことに気がついた
話しの最中、君が誰か他の違う人の名前を出すたびに嫉妬した
強く嫉妬した。
辺りは暗くなり少し肌寒くなった
両手をこする君に見かねて近くにあった自販機
僕は紅茶
君には暖かいココアを。
ココアは君の手の中でコロコロと転がった
乾燥した手、ささくれ、伸びた爪
君はふたを開けた
君の喉が動くのと、缶に触れた唇を見ていた。
ありがと と微笑む君の笑顔
でも僕は目をそらした。
ふいに はい と突き出されたココア
それに一瞬戸惑った、受取ろうかと戸惑った
余裕なふり ありがと とココアを飲んだ。
甘い香りが鼻を通った。
冷たい風がそろそろ厳しくなってきた
帰ろっか と君はつぶやいた
僕はまた同じ距離感で歩く
やっぱり出せない右手
悔しさに歯を食いしばった
帰り道は既に街灯に照らされるだけの道となり
綺麗な紅葉も赤を失い
薄暗くてさみしいとも思えた。
すごいね
君が上を向くから 僕も上を向いた
輝く星 瞬いては瞬いた
自然と僕の口が開く
ここで言ってしまおうと
好きです
君は はい とうなずいた。
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legata
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