「ねぇー。」

「……………。」

「ねぇってば。」

「……………。」

前にいる君に声をかける。
でも君は返事をせずに、どんどん先に行ってしまった。
…ちゃんと此方を見てよ。



僕は君の前まで走った。
そして君の顔を覗き込んで声をかけた。

「聞こえてるんでしょ?」

「っ!?」

君は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに顔を背けてしまった。




僕のことが嫌いなのかい?


…………違うだろ?

















「ミク、飴食べる?」

「いらない。」

君はいつでもそう。

「ミク、この数式の解き方教えて?」

「知らない。」

素っ気ない返事ばかり。
自分の姿を見せようとしない。
何故なのか、僕は知らない。
それでもずっと一緒にいたら、少しくらい理解できるのかな?
君のガラス玉みたいな無機質な目じゃなくて、素直な目がみたいから。



















僕と君の関係は一体何だろう?
僕は君に惹かれている。
気付いた時には、すぐ側に移動してる。
すべての原子が引き合うみたいに。


この僕と君の間にはたらく不思議な力。
あえて名前をつけるなら…





…あぁ、やっぱり言うのは止めておこう。
君が尋ねてくるまで、そっとしまっておくよ。
優しく伝えられるように。



















今日は日直だった。
日誌を先生に渡して、教室に戻った。

「あれ?」

教室に人影が見えた。
職員室に行く前は誰もいなかったのに。
よく見ると“君”だった。

「どうし……っ!?」

何故いるのか尋ねようとして、止めた。
君はいきなり近くのプリントを破り捨てた。
多分、返されたテストだと思う。

「…違う……私はもっと、完璧じゃなきゃ…。」

君がそう呟いたのが聞こえた。
教室内には、プリントを破く音だけが響いている。





どうしていいか解らない時は、何もかも壊して捨ててしまっても構わない。
それで、僕と君が向き合えるなら。








「…ミク、」

「!!」

「どうしたの?」

「…あなたには関係無いでしょ。」

「僕で良かったら、相談にのるよ?」

「…善人ぶらないで。」

そう言って僕を睨み付けた。

確かに僕には関係無いかもしれない。
普段だったら、僕は面倒事には関わらない。
でも君がいるから、喜んで関わろうとしている。
何故なら…




「僕は善人なんかじゃないよ。」

「…………。」

「ただ、君の素直な目が見たいだけなんだ。」

「………何で?」

「それは……君のことが好きだからだよ。」

「っ!!」

君は目を見開いて僕を見た。
その目には僕の姿が映っていた。
ちゃんと此方を見たのは初めてだと思う。



「じゃあ、僕は帰るから。相談はいつでも受け付けてるよ。」

黙ったままの君に背を向けて歩き出した。

「…待って、」

「ん、何?」

振り向くと、君は僕のすぐ側に移動していた。

「…私、素直になって、いいの?」

「うん。」

「でも、私、結構、我が儘だよ。」

「そうなんだ。…でも、そういう所も含めて、全部好きだよ。」

「っ///」

君は顔を真っ赤にしながら、綺麗に笑った。
初めて見る、素直な表情。
僕もつられて笑った。
















僕にとっては、好きか嫌いかで十分だった。
でも1つだけ例外があったみたいだ。
それは…、




君のことだよ。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

ラブアトミック・トランスファー

今回は「ラブアトミック・トランスファー」の自己解釈です。

ちゃんとツンデレっぽく書けたかな?

蝶々P(papiyon)様すみませんでした。

閲覧数:1,358

投稿日:2011/07/22 15:46:05

文字数:1,456文字

カテゴリ:小説

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  • 禀菟

    禀菟

    ご意見・ご感想

    おぉ、なんかすげぇ…!!
    ツンデレだ!!
    なんか俺もツンデレの黄金比書きたくなった!
    今から書く!

    2011/07/22 15:52:09

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