放送にあたし達四人は固まっていた。冗談じゃないわ、帽子屋さん相手に戦うとか絶対無事じゃ済まなさそう。

「これ私達に不利過ぎじゃない?!花壇ちゃんとかどうなのよ?!」
「この際花壇と手を組めば安全ではないのか?」
「でもそれだと勝負にならないし…ゲームとして成立しなくなっちゃうんじゃない?」
「うーん…そもそも『グリフォン』て誰?」
「私も会った事無いのよ。」
「正体を見極めろって事は私達の知ってる人よね?さっきの映像見る限り多分男の人
 だと思うし…。」
「じゃあ候補としてはトカゲ、ウサギ、ヤマネ、チェシャ猫って所かしら?」
「あ!そう言えばトカゲさん朝から見掛けてないかも!」

あたし達が相談している所へ物凄く羽毛塗れのナチ君が現れた。

「ギャー!!鳥人間!!」
「誰のせいだと思ってんだよ!!死ぬかと思ったよ…プレート返してくんない?」

前の課題以降何と無く気まずくて避けちゃってたのを思い出して、目を逸らしてしまう。駄目駄目、今は平常心よ平常心…。あ…でもナチ君のプレートってバタフライが持って…。

「ねぇねぇ、君は誰だと思う?」
「は?」
「『グリフォン』の正体よ、私はトカゲさん辺りじゃないかと思うんだけど…。」
「知らないよ、それよりプレート…。」

纏まらない意見で揉めかけていると、いきなり白い物がバラバラと降って来た。

「わっ?!何これ?!」
「…ポップコーン…?誰よ食べ物粗末にしたのは…?」
「皆逃げろ!」
「へっ?」
「ギャアアアアアアアアアアア!!また鳥ぃ――――――――――っ?!」

散らばったポップコーンにこれでもかと言う数の小鳥が群がった。状況が判らなくて皆軽くパニック状態に陥った。ナチ君に到ってはほぼ絶叫…。

「きゃああっ?!」
「門番さん!」

小鳥の群れの中にギョッとする程真っ黒い影が立っていた。手にはプレートが輝いてる。

「プレイヤー『チコリ』ブレイク。」
「ああっ!!嘘?!」
「え?じゃあ私もアウトに?」
「スナイパー君、これ持って逃げて!」

チコリがプレートを投げ渡すとあたし達は蜘蛛の子を散らす様に一斉にバラバラに逃げた。何アレ?!誰アレ?!声とかめちゃめちゃ合成音っぽかったし全然判んない!!どうしたら良いのよ~~~?!

「おーっとぉ!門番ディー戦闘不能により『チコリ』ブレイク!早くしねぇと全員
 狩られっぞー!」

能天気な放送に苛立つより先に、あたしは鷲に追われる雀の気分だった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DollsGame-122.エレムルス-

ヾ(@∀@ヾ)ひょーっひょっひょっひょっ!

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投稿日:2010/09/17 11:05:27

文字数:1,035文字

カテゴリ:小説

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