朝日が雨上がりのアスファルトに降り注ぐ。
雲一つない、快晴。
あたしが世界で一番大切な人に出会ったのは、そんな朝だった。



*



窓から差し込む太陽の光。
少し唸って顔を上げると視界に入ったのは目覚まし時計だった。
ピンク色のかわいらしい時計で、確か3000円以上したはずだ。
そんなあたしのお気に入りの時計があざ笑うように指す時間は…


「8時5分…んんんんんん!?」


普段より一時間以上遅い起床に凛(リン)は一気に顔を蒼くした。
寝癖の目立つ髪もそのままに、あわててセーラー服に袖を通し、


「ごめんなさいいってきます!!!」


ローファーの踵を踏んづけながら大きくお洒落な家を飛び出した。




*




学校まで片道20分。始業は8時10分。
全速力で駆け抜けても絶対間に合わない。


企業の専務であり、厳格な父の怒りに染まった顔が浮かんでは消え、浮かんでは消え…


「お父さんにばれたら怒られる…」


人一倍礼節に気を遣う家庭に生まれた凛にとって、遅刻などあってはならないことだ。
凛には「どうせ遅刻するからゆっくり行こう」という考えは頭の隅にもなく、ただ顔を真っ赤にして通学路を走っていた。



そんな凛が足を止めたのは…


(鏡音連、君?)


整った顔立ち…要するにイケメンで有名な隣のクラスの男子だった。
素行が悪く、遅刻、サボリの常習犯である。
奇遇にも凛と連は同姓であり、接点があるように思われるが…


(喋ったこと、ないしなあ)


男子と会話するのが苦手な凛にとって、ただの他人でしかなかった。


連は自転車を止めて携帯をいじっていたが、ふと視線を感じたのか、耳からイヤホンを抜き、凛のほうに顔を向けた。
凛は少し緊張した声で、


「鏡音君、だよね?2組の…」


「連」


連は少し考えてから、真っ直ぐ凛を見て言った。


「お前も鏡音だろ?呼び方、連でいい」


微笑を浮かべる連は、芸能人みたいにかっこよくて。
人気があるのも、わかる気がした。


「じゃあ、連君、て呼ぶね。連君は学校いかないの?」


「あー…サボるよ」


サボる。
その単語は凛にとって縁のない言葉。
少し好奇心が沸いた。


「ねぇ、サボるってどんな感じなの?」


連は少し驚いた後、笑った。


「おもしろいこと言うじゃん、凛」


ああ、こういう笑顔を見せる人なんだ。
連のくしゃっとした笑顔が凛の印象にのこった。
こういう笑顔、好き。

そして事も無げに出てきた「凛」。
名前を呼ばれて、凛の胸の真ん中がキュッと縮んだ。
男子と会話することなんてほとんどなかったからだろうか。


「そんなに気になるならさ、さぼればいいじゃん。暇だったら俺でよければ相手するし」


「いいの…かなぁ」


激怒するお父さんの顔が浮かんだ。
だけど。


(もっと知りたい)


連の笑顔を。
胸が縮む、この気持ちを。


「うん!わたし、連君とサボる!」


「やっぱおもしれーよお前。じゃあ、乗れ」


連は自転車の荷台を指さした。
二人乗りなんて、罰則があるものには全く縁がない。
だけど、細かいことを気にするのはやめた。


「わたし、初めてなんだけど…大丈夫かなぁ?」


「大丈夫大丈夫、つかまってろ」


連がペダルを漕ぐ。
風が気持ちいい。
凛の中学2年の晩春は、転機のときとなった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【ロミシン鏡音ver.】喜劇のジュリエット1【リメイク】

ブランニュー侑子本格始動です!\(^o^)/

いやなつかしいですねー…
最初の雰囲気をぶち壊すことなく進めています。
設定は基本的に、そのままです。

今回もあうあうはバリバリ入れるつもりです。
あうあうシーン苦手なんだけどね!\(^o^)/
ちゅーとかは体験済みなんで←だま。割とリアルに書けると思います…たぶん。


参考にさせていただいた神pv http://www.nicovideo.jp/watch/sm11970012

神曲な本家様 http://www.nicovideo.jp/watch/sm6666016

閲覧数:873

投稿日:2013/02/04 18:51:31

文字数:1,422文字

カテゴリ:小説

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