第二十二話 僕と君は

 あまりに白くて、目を閉じた。

 僕には綺麗すぎて、眩し過ぎた。

 もうこれ以上君とは会ってはいけないのに。
僕と君は―――違う生き物だから。

 だからもう、僕の名前をその声で呼ばないで。

 あいたくなるから。



 ―――もう、呼ばないで―――。




     *



 「今日も来てくれたのね、レン」

 僕は毎日のようにミクに会いに行った。
その笑顔を見たかった。

 夜は、ミクが寒がってない(雪女なので寒さは関係ない)とか、泣いてないかとか。
無性に気になって、毎日会いに行った。


 父さんや母さんにはまだバレていない。
グミにはまだ暗黙の了解で、許されている。

 でも、長くはない。


 「今日は、家にあったアップルパイを持ってきたんだ。ちゃんと冷ましてあるから」

 「レンは本当に優しいのね……ありがとう、大好き」

 「どういたしまして」


 よく、ミクは大好きと僕に言う。
それが本当なのか冗談なのかは分からないけど。


 そうしていつものように、何気ない話で盛り上がって、僕は帰った。
「明日も来る」と、根拠にない約束をして。

 「まってる」

 ミクはいつもそう言ってくれた。




      *




 「レン、最近よく外出をしているようですが、どこに行ってるの?」

 最近母さんから外出先の尋問に会うことが多くなった。
感づかれているのだろう。

 でもそのあたりは適当にごまかして、その場は繕った。


 先は長くない。


 僕は逃げるように自室へと向かった。


 その廊下でだった。


 誰の部屋かは知らないが、数人の男の話声がする。
その声のする部屋のドアに耳を当て、内容を盗み聞く。


 「もうそろそろ……も頃合いでしょうな……」

 「そのためには――なを――――なければ―――」

 「我々の敵の……」

 「《白に染まりし地(ホワイトヘブン)》の、生き残りの―――雪女を―――」



 ――ドクン



 と、僕の心臓は大きくゆっくり弾んだ。
雪女って言った。

 ミクに――何をする――?


 「そうだ……」

 「名案ですなぁ……さすれば―――この……は……」

 
 「《白に染まりし地》は――焼き討ちだ……!」




 ―――ドク……っ


 焼き討ち?
ミクの住むあの場所を?
そしたらミクは―――どうなるの……?

 何を考えている?

 こいつらは――?
誰だ誰だ誰なんだ!!


 「っミクに知らせないと……!」


 僕は廊下を逆方向に走り出した。
早く、一刻も早く知らせないとミクは―――!





 「どこ行くのよ」




 前に誰かが立ちはだかった。



 「どこ行くの」






 僕を睨みつけている。



















 「グミ―――」















ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

ノンブラッディ

さあてやっと展開しましたなww

閲覧数:92

投稿日:2013/01/19 09:14:21

文字数:1,222文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

  • 関連動画0

  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    グミちゃん…もうこの時すでに?

    いやぁ、もてる男は大変ですなぁww

    2012/12/22 09:46:03

    • イズミ草

      イズミ草

      罪な男め!
      にくい奴めーww

      2012/12/22 17:01:53

  • Seagle0402

    Seagle0402

    ご意見・ご感想

    やった~!
    投稿されたその日に読めた~!
    あぁもうこの後の展開がいろいろありそうでどきどきです…

    2012/12/01 18:41:23

    • イズミ草

      イズミ草

      やった?!
      投稿したその日にコメ来た?!

      展開予想しまくって見てくださいw
      そうやって自分のハードルあげとかないと、アイディア出てこないww

      2012/12/01 19:32:38

オススメ作品

クリップボードにコピーしました